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年金制度改革のポイント (4つの残課題)

平成16年の年金改革により定めら事項に関しての改定がなされておりますが、年金のさらなる長期的な持続可能性を強固にし、セーフティネット機能を強化する改革に向けて国民会議報告書で取り上げられた残課題があります。この点について、厚生労働省年金局の方から話を聞く機会を得ましたので、そのお話について共有したいと思います。 1.マクロ経済スライドの見直し

  • デフレ経済からの脱却を果たした後においても、実際の物価や賃金の変動度合いによっては、マクロ経済スライドによる調整が十分に機能しない事が短期的に生じる。他方で、早期に年金水準の調整を進めた方が、将来の受給者の給付水準は相対的に高く維持。
  • 仮に、将来再びデフレの状況が生じたとしても、年金水準の調整を計画的に進める観点から、マクロ経済スライドの在り方についての検討を行う事が必要。
  • 基礎年金の調整機関が長期化し水準が低下する懸念に対し、基礎年金と報酬比例部分のバランスに関しての検討や、公的年金の給付水準の調整を補う私的年金での対応への支援も合わせた検討が求められる。

2.短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大

  • 被用者保険の適用拡大を進めてゆくには、制度体系の選択の如何にかかわらず必要。適用拡大の努力を重ねることは三党の協議の中でも共有されており、適用拡大の検討を引き続き継続してゆくことが重要。

3.高齢期の就労と年金受給の在り方

  • 2009年の財政検証で年金制度の持続可能性が確認。また、2025年までかけて厚生年金の支給開始年齢を引き上げている途上。直ちに具体的な見直しを行う環境にはなく、中期的な課題。
  • この際には、雇用との接続や他の社会保障制度との整合性など、幅広い観点からの検討が必要となることから、検討作業については速やかに開始しておく必要。
  • 高齢化の進行や平均寿命の伸長に伴って、就労時間を伸ばし、より長く保険料を拠出してもらうことを通じて年金水準の確保を図る改革が、多くの先進諸国で実施。日本の将来を展望しても、65歳平均余命は更に4年程度伸長し、高齢者の労働力率の上昇も必要。
  • 2004年改革によって、将来の保険料率を固定し、固定された保険料率による資金投入額に給付総額が規定されているため、支給開始年齢を変えても。長期的な年金給付総額は変わらない。
  • したがって、今後、支給開始年齢の問題は、年金財政の観点と言うよりは、一人ひとりの人生や社会全体の就労と非就労(引退)のバランスの問題として検討されるべき。生涯現役社会の実現を展望しつつ、高齢者の働き方と年金受給の組み合わせについて、他の先進諸国で取り組まれている改革のねらいや具体的な内容も考慮して議論を進めてゆくことが必要。

4.高所得者の年金給付の見直し

  • 世代内の再分配機能を強化する検討については、年金制度だけではなく、税制での対応、各種社会保障制度における保険料負担、自己負担や標準報酬上限の在り方など、様々な方法を検討すべき。また、公的年金等控除を始めとした年金課税の在り方について、見直しを行ってゆくべき。

 以上4点についてが残課題と位置づけられております。 それぞれが我々および次の世代の生活に直結した内容になっており、この検討方向により支給される年金額に多きな変化が出てくることになり、所謂、第一の人生あるいは第二の人生の後の生活の仕方に大きく影響してくる内容だと認識しており、まさに自分の問題です。 年金は現役世代が納める保険料収入+積立金+国庫負担の総額と支給する年金金額がバランスする(=同額になる)事が大前提です。少子高齢化に伴い現役世代の絶対数が少なくなってゆく中では、保険料収入の拡大を期待する事は難しく、さらに国庫負担については2分の1と決められた中では、支給年金金額を下げてゆくことによリ収支のバランスを取るしか方法は有りません。結果、年金金額は減る方向になります。 その事実を正しく認識する事、その上で自分としては何が出来るかを考え、生活してゆくことが求められています。 政府の各部門行われている論議に注目したいと考えます。

 

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世界経済フォーラム発表の世界各国競争力ランキング(1位から20位まで)

 世界経済フォーラムが発表している世界各国の競争力ランキングで日本が昨年の9位から6位に改善したとの報道がされていますが、そのほかの国はどうなのかが気になるところです。 (独り言ですが、世界各地からのニュースで事故が発生した際に日本人が事故に巻き込まれたかどうかの点がそのニュースの焦点になっている事が気になっています。事故自体の規模や内容、影響、課題がまず有るべきで、最後に日本人の関与内容で有れば良いのですが、日本人が怪我をしてなければ大した事故では無いとの印象の報道は非常に自己中心的な、まずい報道だと考えます。世界各国を理解し、その中での日本のポジションの理解であるべきです。) そこで、20位までの国についてリストアップしてみたいと思います。同時に私がこれまでに現地に出張して感じていた印象も付け加えておきます。(かなり昔の個人的な印象ですが。)

  1. スイス    評価点:5.70  前回:1位  日本人赴任者数:363名  印象:少数精鋭、清潔感、高付加価値、物価高
  2. シンガポール     :5.65       :2位          :11912名   :20年後の中国、物価高
  3. アメリカ       :5.54     :5位            :54742名   :フランク、ラフ、消費大国
  4. フィンランド     :5.50     :3位          :101名     :透明感
  5. ドイツ        :5.49     :4位          :7149名      :固いデザイン、マイスター
  6. 日本         :5.47       :9位
  7. 香港         :5.46     :7位          :9124名    :広東語がうるさい、エネルギッシュ
  8. オランダ       :5.45     :8位          :1449名    :平(たいら)な国
  9. イギリス       :5.41    :10位         :9343名      :レンガ、丘陵地帯、古都
  10. スウェーデン     :5.41    :6位           :118名      :湖のような海、入江、透き通った空気
  11. ノルウエ―      :5.35    :11位         :62名      :巨大な森の中にポツリポツリと都市
  12. UAE         :5.33    :19位           :1561名    :人工都市、砂と海
  13. デンマーク      :5.29    :15位           :49名      :レンガ、細い道の街
  14. 台湾         :5.25    :12位         :5193名     :小上海
  15. カナダ        :5.24    :14位         :2295名    :春が待ち遠しい国
  16. カタール       :5.24    :13位         :652名      :急速な発展
  17. ニュージーランド   5.20     :18位         :603名      :高山に雪、冷たい広い海にヨット
  18. ベルギー       :5.18    :17位         :1318名     :欧州列強諸国に囲まれた国
  19. ルクセンブルグ    5.17     :22位           :171名     :出張経験なし
  20. マレーシア      :5.16    :24位         :8521名     :平らな熱帯

  20位までは以上のとおりです。(印象については、かなり偏った印象で、単なる参考意見です。) 欧州の国が多いと感じます。世界経済フォーラム自体ジュネーブに本部を置いている欧州視点の組織でバイアスが掛かっている気はしますが、経済活動の指標としては参考にできます。リーマンショックの後、世界経済を支えたのが中国とアジア諸国で、ここに来てかなり成長が鈍化してきておりそれに代わってアメリカが自力を出してきていると言う印象で、その間欧州はその間パットせず、目が行っていなかった感覚がありますが、やはり欧州を無視する事は出来ません。 気になるそのほかの国ですが、中国は29位(前回27位)、インドは60位(前回71位)、インドネシアは38位(前回34位)とこれからと言った感じです。競争力ランキングに日本人赴任者数を並べておりますが、私としては海外の隅々まで日本人が出てゆき、現地の人と一緒に生活し考えてゆく事で初めて相手の抱えている課題が分かるのだと思います。上の日本人赴任者数は民間企業に属する赴任者数で、全世界で生活している海外在留邦人128万人の内のほんの一部ですが、世界競争力トップ20の国で、現地に入り混じって活躍してほしいと期待したいものです。

 

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インドのモディ首相来日に関連して

インドのモディ新首相が海外で最初に訪問先に選んだ国が日本になった事で話題になっており天皇陛下もお会いになった事がニュースにも取り上げられております。安倍首相と交わした共同宣言でも、日本は3兆円規模の投資を行い拠点数を2倍に増やすとなっておりますが、実はインドは日本企業の拠点数のランクでは昨年実績で中国、アメリカについで第3位になっております。

  1. 中国    拠点数 31661拠点
  2. アメリカ  拠点数  7193拠点
  3. インド   拠点数  2510拠点

ちなみに 第4位はアジアのデトロイトと言われているタイで1580拠点となっております。 それだけ拠点数の多いインドですので、さぞかし多くの日本人赴任者がすでに赴任していると想像できますが、赴任者数の統計では驚くほど少なくなっています。 民間企業からの海外赴任者ランキングは以下の通りで

  1. 中国     赴任者本人  75246名  赴任者家族 32268名  帯同人数比率 43%
  2. アメリカ   赴任者本人  54742名  赴任者家族 10209名  帯同人数比率 109%
  3. タイ     赴任者本人  27341名  赴任者家族 16703名  帯同人数比率 61%
  4. シンガポール 赴任者本人  11912名  赴任者家族 11772名  帯同人数比率 98%
  5. イギリス   赴任者本人  9343名  赴任者家族  10209名  帯同人数比率 109%
  6. ドイツ    赴任者本人  7149名  赴任者家族  7199名  帯同人数比率 101%

  かなり順位を下げて インド   赴任者本人  4102名  赴任者家族 1833名  帯同人数比率 45%  となっております。

 人口12億人の巨大な市場でその国土も広く、かつ地域地域での独特な合弁相手先と州ごとに異なる税金制度があるインドでは、現地でのビジネスをするためには拠点数は必要だがまだまだ日本あるいは日本人にとっては遠い存在の国がインドと言った感じがします。 私自身、前職で海外赴任者に関係する仕事をしておりましたが、その際に気にしていたのが帯同率で赴任者本人にご家族が一緒に赴任しているか(帯同しているか)の割合です。

 外務省の統計では家族数としては統計が取られていませんが、家族一人ひとりを人数に数えた帯同人数の統計はあり、それで比較すると上のリストの通りインドは45%と非常に低くなっております。欧米では、1人の赴任者に奥様(配偶者)とお子様が何人か帯同され帯同人数比率が100%を超えることが多くなっておりますが、インドの場合はかなり低いのが現状で、単身赴任が多くなっているあるいはご結婚されていない独身赴任者が多くなっていることが推測できます。

 今回のモディ首相の訪日を機に、インド側での税制面その他での改善がなされ、日本企業が進出しやすい環境が整い、インドへのご家族を含めた赴任者が増え、相互の交流が深まる事を願いたいと思います。具体的には、日本と世界各国(現在15か国)との間で発効しております社会保障協定があります。インドとの間でもすでに社会保障協定は締結しておりますが、まだ発効はされておりません。これを機に早期に発効され相互の人材の移動についての制約が削減されてゆくことも期待したいと思います。

 

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防災の日にリスクについて考える

 今日 9月1日は防災の日です。 大正12年(1923年)9月1日に神奈川県を震源とするマグニチュード7.9の大地震が発生し、大きな被害が発生しました。各地で防災の日に関連した行事が行われており、私たちもこれから起こるかもしれない自然災害に対する備えを行ってゆく必要があります。

 この機会にこのウエッブページに関連して年金に関するリスクについて考えたいと思います。 法律文化社から江口隆裕氏が出されている「変貌する世界と日本の年金」の中で年金に関する三つのリスクが挙げられています。

(1)長生きリスク  個人として平均寿命より長生きする個人としての長生きリスクとある世代がそれ以前の世代よりも長生きする「世代としてのリスク」が有る。

(2)少子化リスク  年金の負担者たる現役世代を長期的に減少させるため、賦課方式の下で現役世代の負担を累増させる。

(3)運用リスク   実際の運用利回りが予定利率を下回る運用リスク。

 私自身、前職では情報セキュリティ管理の責任者をしておりましたが、各職場での情報セキュリティ管理の基本は、リスク分析であり、そのマネージメントです。企業では自部門あるいは自社にどんなリスクが有ると認識する事から始まり、その認識したリスクに対してどのように対処するかの活動をマネージする事が必要であり、それを継続してPlan-Do-Check-Actionで改善してゆく事で改善を生むことが出来ます。

 個人の生活についても全く同様です。我々の大事な年金についても同じことが言えます。

 防災の日に当たり、自然災害に対する対策だけでは無く、それ以外の身の回りのリスクについても認識する機会にしたいと考えます。

 

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平成27年度 主な税制改正要望の概要 (年金に関して)

 平成27年度予算についての各省庁からの概算要求が出て、初めて100兆円の大台を超える予算となるかとの議論が開始されますが、それに関連して各省から税制改正の要望も出てきており、厚生労働省としての要望の概要の発表がありました。

 ここでは、私共の関心が高い年金の関する内容を取り上げたいと思います。

 以下の通り、企業年金制度についての税制措置について要望が出されています。

 企業年金制度等の見直しに伴う税制上の所要の措置(所得税、法人税、個人住民税、法人住民税、事業税) 要望内容 確定拠出年金制度をはじめとする企業年金制度等については、施行後約10年を経て見直しの時期になるとともに、「「日本再興戦略」改訂2014」においても国民の自助努力促進の観点から制度の見直しを行うこととされていることから、現在、社会保障審議会企業年金部会において制度のあり方の検討を行っており、その結果を踏まえて税制上の所要の措置を講ずる。

現状(要望の背景)

○ 国民の老後所得については、公的年金と私的年金を組み合わせた形での制度的保障が国際的な流れにある中で、我が国においても企業年金等の役割は高まる傾向にあり、中小企業や一般企業が取り組みやすい制度改善といった、企業が企業年金を実施・継続するための見直しが求められている。

○ また、若年層や女性を中心に、ライフコースが多様化し、働き方の複線化・多様化が顕著になる中、個々人のライフコースに合わせた老後の生活設計を支える仕組みが必要。 加えて、「貯蓄から投資へ」という流れも踏まえて、確定拠出年金制度等の見直しを検討する必要がある。

○ このため、平成26年6月から、「社会保障審議会企業年金部会」において、企業年金制度等のあり方について議論を開始したところであり、先般の部会で以下の通り検討課題を整理したところ。

Ⅰ 企業年金等の普及・拡大 ①一般企業向けの取組 ②中小企業向けの取組

Ⅱ ニーズの多様化への対応 ②    柔軟で弾力的な制度設計 ②ライフコースの多様化への対応

Ⅲ ガバナンスの確保

Ⅳ その他 ①    現行制度の改善 ②    公的年金制度や税制等との関係 ○本年秋以降、上記検討課題に沿って同部会において具体的な検討を行う予定。

  私のブログで7月31日に企業年金の事を取り上げましたが、定年後に十分な年金を受け取り豊かな老後を過ごせるようにするには公的年金に上乗せする企業年金が欠かせない制度であり、特に受給額の点からも現役世代にとって特に重要な課題です。ただし、企業年金の普及は会社員全体の40%と普及が進んでいるとは言えず、企業がリスクを負担するのか?社員がリスクを負担するのか?課題があります。今年検討している新制度はその中間のハイブリッド型の様でそれがこの税制改正に関係してきているのだと思います。