1.日本との社会保障協定 | 平成20年3月( 2008年3月)発効 日本との社会保障協定により、社会保険料の掛け捨ての問題が解決し、保障協定発効月以前にカナダで社会保険料の支払いが有った人は日本の年金加入期間との通算ができ受給資格が発生する事になりました。 |
2.年金の種類 | カナダの年金は日本と同様に2階建て(企業年金、個人年金を除いて)の制度になっています。 (1階部分)老齢保障年金 OAS【Old Age Security Pension】、税財源方式 加入期間に対して定額の支給となります。ただし、一定額以上の収入の有る人には払い戻しの義務があります。(詳細は下部を参照願います) (2階部分)退職年金 CPP【Canada Pension Plan】、報酬比例方式 なお、ケベック州ではCPPに代わってケベック年金制度QPPが制度化されています。 |
3.社会保険料率 | (OAS)税財源方式 (CPP) 被用者:4.95% 雇用者:4.95% 自営業者:9.9% |
4.社会保険加入期間 | (OAS)カナダ在住者の場合:10年以上、カナダ国外在住者の場合:20年以上 日本からの駐在者の場合、社会保障協定により日本での加入期間との通算が可能。 受給資格には、カナダ国籍あるいは外国人の場合、出国時に合法居住者で有った事(永住ビザ保持者)が条件となります。 (CPP) 最低1年 受給資格者には、カナダ就労ビザでの海外勤務者が含まれます。 |
5.受給年齢 | (OAS) 65歳 今後2023年~2029年の間に67歳まで繰り下げられます。 (CPP)65歳 |
6. 受給の時効 | 受給年齢に達した後に申請した場合、受給の遡及期間はOASで最大11か月、CPPで最大12か月となります。 |
7.繰上げ受給 | (CPP)60歳からの繰り上げ受給が可能です。(繰上げ月数毎に0.6%の減額(2019年度)) |
8.繰り下げ受給 | (CPP)65歳から70歳まで60か月の繰り下げ受給が可能で、月ごとに0.6%増額されます。(2019年度) |
9.支給金額 | (OAS)40年間の満額支給金額はC$607.46 カナダ在留年数に0.025 を掛けた比率で受給金額が決定されます。 高所得による減額条件があります。(詳細は下部を参照願います) (CPP)生涯平均年金対象所得の25%と初月年金対象所得の8.33%の合計金額となります。65歳時の最高支給月額は39年カナダ社会保険加入条件月でC$1154.58 となります。(2019年度) |
10.遺族年金 | カナダ年金には遺族年金の制度が有り、支給額については、以下のようになっております。 【死亡した被保険者の配偶者がCPP年金を受給していない条件で】 (1) 配偶者が65歳以上の場合、死亡した被保険者の受給額の60% (2) 配偶者が65歳未満の場合、死亡した被保険者の受給額の35%プラス193.66カナダドル(満期加入の場合) 以上が規定となっております。 |
11.カナダ年金の支給形態と時期 | 【OAS、CPPについて】 カナダ年金の支給は従来(2019年12月まで)は 日本円での小切手での支給となり、銀行振り込みサービスは行われておりませんでしたが、2019年12月より銀行振り込みに変更可能との連絡が受給者に送付されており、順次銀行振り込みに変更されております。 支給は基本的には毎月となりますが、年1回(12月)または年2回(6月と12月)にまとめて支給を受けることも可能です。 【受給者の方へご連絡(2019年12月1日)】 先週(2019年11月末)からカナダ年金受給者宛に緊急の連絡が入っております。日本での小切手交換が出来なくなっている為、今年6月から11月まで小切手での支給が困難となり、銀行振り込みに変更可能するとの連絡内容です。 Foreign Direct Deposit Enrolment Formが同封されておりますので、そちらにご記入の上、Service Canada宛に返送ください。 なお、フォームにはお取引銀行から銀行名称と住所のスタンプ押印枠がございます。Service Canadaのホームページでは、銀行にて取得するようにとの指示になっております。 また、支給通貨は円のみとなります。なお、日本の銀行で海外送金を受ける際には被仕向送金手数料が発生いたします。手数料については、銀行にご確認されます事をお勧めいたします。 【小切手の交換手数料について(2022年12月1日より)】 SMBC信託銀行様が社会保険労務士事務所プラムアンドアップルのお客様に対して特別優待プログラムを提供いただき、カナダ年金小切手の日本側交換手数料が無料となっておりましたが、今後は有料となり660円の交換手数料が発生する事となりました。 また、小切手発行元のBank of America の手数料2000円は避けることが出来ず、そちらの手数料も発生いたします。 なお、それ以外の優遇プログラムについては、継続となります。 詳細については、「SMBC信託銀行様発行のご案内」パンフレットをご参照いただきたくご要望の場合にはメールにてご連絡をお願いいたします。 【補足説明事項】 1. 本特別優待プログラムは、SMBC信託銀行様が独自に実施するプログラムとなり、社会保険労務士事務所プラムアンドアップルのサービスでは有りません。 詳細のご質問については、SMBC信託銀行担当窓口(0120-71-4189)へお問い合わせください。 2. 社会保険労務士事務所プラムアンドアップルとSMBC信託銀行は、業務提携に基づきご案内しておりますが、社会保険労務士事務所プラムアンドアップルは本プログラムに関し代理、媒介(勧誘、取次を含む)あるいはそれに類似する行為を行うものでは無く、名目の如何を問わず相互に対価を生じるものでは有りません。 【QPPについて】 ケベック州の老齢年金であるQPPについては、銀行振り込みでの受給が可能となっております。これまでの小切手で受給されておられる方は、振込みへの変更をお勧めします。また、その際は海外送金時の入金手数料にご注意ください。海外送金の入金手数料を無料にしている銀行もございますので、ご利用をお勧めいたします。 銀行振り込みへの変更手続きについては。お問い合わせのページからご連絡ください。 |
12.日本の年金への影響 | カナダから年金を受給した場合でも日本で受給する年金には影響は有りません。 |
13.受給申請手続き | お客様ご自身で申請される場合は、申請書類を年金事務所で入手の上、カナダでの社会保険番号を含めて、ご自身の情報およびご勤務時の情報をご記入になり、必要な追加書類を添付の上、年金事務所へご提出いただく手続きとなります。 申請書類提出の後、本国から受給資格についての確認・追加資料の提出指示が有りますので、その指示に従って資格審査を受けることになります。 ご注意と審査の状況について(2015年7月現在): カナダ年金申請手続きでは、確実な資格審査用資料の添付をお願いします。添付資料には認証手続きが必要な書類もございます。添付資料に不備が有る場合は、審査が行われずそのまま後回しにされる状況と現地Service CanadaのOperation Centre から情報を得ており、また2015年7月現在、資格審査通知には20週間程度かかっているとの情報も得ております。 私共にご依頼いただく場合は、弊所のフォームにしたがってお客様のパーソナルデータをご記入いただき、その情報をベースに、弊所にて海外年金受給申請書類を作成いたします。 全ての書類が準備できた段階で、お客様に内容の確認・ご署名をいただき、その受給申請書類を弊所が代行して年金事務所に提出いたします。必要書類の翻訳手配についても私共の方で手配いたします。 また、本国からの資格審査につきましても、弊所にてお客様との打合せの上で対応させていただきます。 (ご注意:申請代行サービスはお客様からの委任状をいただいた上で実施いたします。) |
14. 生存証明 | カナダ年金局では年金受給者の生存証明を行う指示を行っております。ご本人が生存証明にサインを行い、それを公的に認められた機関あるいは組織で認証する事が必要となります。 私共では、社会保険労務士としての資格で認証するサービスを行っておりますので、ご希望の方は、お問い合わせページからご連絡をお願いいたします。 |
15.現地担当機関 | 日本国内にはカナダ年金についての照会先は設けられていません。 カナダ歳入庁 Canada Revenue Agency (http://www.cra-arc.gc.ca) 人的資源・社会開発省 Human Resources and Skill Development Canada ( http://www.hrsdc.gc.ca ) |
16.海外年金の所得税について (確定申告について) |
(1)カナダでの源泉徴収率 最大25% 日本とカナダの間には租税条約が締結されていますが、年金については除外されており、租税条約での還付は出来ないと理解しています。 (2)日本での確定申告時の公的年金への対応 日本での所得税については、平成26年の税制改正により、平成27年分の確定申告から対応が変わりましたのでご注意ください。 平成26年分の確定申告までは、その年中の公的年金等の収入金額が400万円以下であり、かつ、その年分の公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下である場合には確定申告の必要はありませんでしたが、平成27年分よりは、海外年金の収入が有る場合は確定申告が必要と変わっております。 (詳細は、国税庁タックスアンサー1600をご覧ください。本ホームページ「公的年金の課税について」にも記載しております。) 詳細については、最寄りの税務署にご相談ください。 |
17.カナダへの確定申告について | カナダ年金を受給している場合、カナダから確定申告の書類が届きます。通常1月から2月頃に到着し、提出締め切りは4月末となります。 この確定申告を怠りますと、カナダ年金の支給が停止されますので、ご注意をお願いします。 |
ご注意 |
カナダの年金は、税財源方式の老齢保障年金(OAS)と社会保険方式(報酬比例)のカナダ年金制度(CPP)がありその上にそれ以外の私的所得の有る構造になっています。
その内、カナダの老齢保障年金(OAS)は、全額税財源により支給される年金制度であるが、受給者のうち、OAS以外の所得額が一定額(月額5,913カナダドル(約55.6万円))を超える場合は、所得額のうち当該一定額を超える部分の額の15%に相当する額を税として国に払い戻す(実際には、翌年7月から翌々年6月のOASの給付から控除する)制度があり、クロ-バックと呼ばれています。
OASの払戻し(クローバック) ・・・カナダ老齢保障年金(OAS)の受給者であって、OAS以外の所得額が一定額(月額5,913カナダドル(約55.6万円))を超える場合は、当該所得額のうち一定額を超える部分の額の15%に相当する額を税として国に払い戻す仕組みになっています。
出典:日本年金機構 社会保障審議会資料
社会保険労務士事務所 プラムアンドアップルでは、社会保険労務士として海外年金受給申請手続きを代行する事が出来ます。是非、お問い合わせください。
年金情報の出典
・日本年金機構
・社会保障協定国 各国年金機構
日加社会保障協定の議定書全文については、こちらで。