シンガポールの社会保障制度は積立制度

 アジア地域への企業進出が盛んですが、その中心はシンガポールです。

 アジア諸国のハブとしての役割を果たしており、各国へのアクセスに関して地理的に中心であり、かつ各国への投資の拠点にもなっています。法人税が世界の主要国の中でも非常に低く(最高でも18%、ただし実際には10%程度が多い)日本の40%とは比較になりません。物価はかなり高く、住宅価格、自動車価格については企業にとって負担ではありますが、安全で教育レベルも高く、企業が赴任者を出す点では全く問題なく、アセアン諸国に製造拠点や販売拠点を置きながら、シンガポールは地域のヘッドクオーターとして統括会社を配置する企業が多くなっています。日本人赴任者からの希望も高く、チャンギ―空港の近くにある日本人学校も西地区にある日本人学校も生徒数が増えています。この事は日本にとってだけでは無く、欧米の企業にとっても同じ条件の為、欧米人もかなり多く見かけます。樹木の多い丘陵地区に高層マンションがにょきにょき立ち並び、プールやジャグジー、BBQやフィットネスの設備までそろった高級住宅が目につきます。 シンガポールの全人口500万人の3分の1が外国人だと言うこともうなづけます。(ただし、国籍的には外国人でも中国人が多数です。)

 そのシンガポールは、現首相のリーシェンロン首相のお父さんのリークアンユー氏が1945年の建国から発展までの立役者で有ることは有名です。まだまだ建国から49年の若いシンガポールですが、社会保障制度では日本や欧米諸国の取っている賦課方式ではなく、積み立て方式を取っています。このため、日本からの赴任者は社会保険料を支払う義務は有りません。昨年、一昨年とシンガポールに出張した際に、タクシーの運転手さんにシンガポールの景気はどうですか?と聞くと、「儲かっているよ。今まで持っていたアパート(日本ではマンションと呼びますが)が非常に高くなりうれしいよ。」とポジティブな話を聞きました。地下鉄に乗ると若い人で満ち溢れており、オーチャード通りには買い物客が多く活況を呈しています。

 しかしながら、国としての課題も有ります。出生率が1.19と日本よりもさらに低く、すでに人口の10。5%が65歳以上になっており、高齢化が急速に進む事が予測されています。 社会保険制度積立方式で、社会保険料としては、被用者の支払い分は月収がS$500からS$1499までの人は年齢、収入により一定額。月収がS$1500以上の人は50歳以下で20%、50歳以上で5%から18。5%となっています。これに対して、雇用者側は月収がS$500からS$1499で35歳以下の場合は16%、月収がS$1500以上の場合は50歳まで16%の支払いとなります。 これらの掛け金を年金基金が運用し、55歳の時に引き出すことが出来、家を買ったりする場合は55歳前でも引き出すことが出来るようです。また、シンガポールを離れる場合あるいは65歳になった場合は残額を引き出すことも可能な様です。 少子高齢化に影響されない積み立て方式ではありますが、物価や給与は年々上がってきており、昔の掛け金が後の生活費必要資金としてどこまで充足できるのかが課題で、政府として特に高齢者介護施設の充実が課題となります。

 シンガポール以外のほどんどの国で採用されている賦課方式では次の世代が高齢者を支える形ですので、インフレについては大きな問題は有りませんが、少子高齢化は大きく影響してくると言う課題があり、積み立て方式も賦課方式も双方に一長一短があります。 日本からの赴任者の場合は、この社会保障制度に加入の義務は無く、社会保険料は支払っていないと聞いております。その点で赴任元企業としての負担は軽減されていることになります。

 

 社会保険労務士事務所 プラムアンドアップルでは、海外赴任経験者に対して海外年金に関する情報提供と申請代行サービスを行っております。これまでに海外赴任された方には海外年金受給資格の可能性があります。是非、赴任国、赴任時期によりご自身の受給資格についてご確認されますことをお勧めします。受給資格がありそう、ただ手続きが難しそうと思われる方には私共がお手伝いいたします。