国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通しについて

 9月29日 厚生労働省の社会保障審議会年金数理部会において、平成26年財政検証結果についての報告が有りました。

 この報告は、国民年金法により政府は少なくとも5年ごとに、国民年金・厚生年金の財政に係る収支についてその現況及び財政均衡期間における見通し(「財政の現況及び見通し」)を作成しなければならないと定められており、その法律にしたがって公表されるものとなっています。

 給付のベースとなっているのは平成16年度に策定したフレームワークで、以下の4項目を実施した上での見通しです。

○ 上限を固定した上での保険料の引上げ(最終保険料(率)は国民年金16,900円(平成16年度価格)、厚生年金18.3%)

○ 負担の範囲内で給付水準を自動調整する仕組み(マクロ経済スライド)の導入

○ 積立金の活用(おおむね100年間で財政均衡を図る方式とし、財政均衡期間の終了時に給付費1年分程度の積立金を保有することとし、積立金を活用して後世代の給付に充てる)

○ 基礎年金国庫負担の2分の1への引上げ 財政検証は、今後も少なくとも5年ごとに、 ○ 財政見通しの作成 ○ マクロ経済スライドの開始・終了年度の見通しの作成 を行い、年金財政の健全性を検証するとしています。

また、見通しを検証する前提として以下の条件設定を行っています。

○ 社会保障と税の一体改革により成立した法律による公的年金制度の改正を反映。

・基礎年金国庫負担2分の1の恒久化

・年金額の特例水準の解消 ・被用者年金の一元化 (厚生年金には旧共済を含む。)

・短時間労働者への厚生年金適用拡大(25万人ベース)

○合計特殊出生率及び死亡率について中位、高位、低位の3通りをそれぞれ設定した将来推計人口(少子高齢化の状況)の前提

○労働力率の前提

○経済前提

○その他の制度の状況等に関する前提 (有遺族率、障害年金発生率、納付率 等)   この中で、まず条件設定の為の前提となるのが、経済前提です。

ケースA(経済成長率 1.4%、物価上昇率 2.0%、賃金上昇率 2.3%)

ケースB(経済成長率 1.1%、物価上昇率 1.8%、賃金上昇率 2.1%)

ケースC(経済成長率 0.9%、物価上昇率 1.6%、賃金上昇率 1.8%)

ケースD(経済成長率 0.6%、物価上昇率 1.4%、賃金上昇率 1.6%)

ケースE(経済成長率 0.4%、物価上昇率 1.2%、賃金上昇率 1.3%)

ケースF(経済成長率 0.1%、物価上昇率 1.2%、賃金上昇率 1.3%)

ケースG(経済成長率 ▲0.2%、物価上昇率 0.9%、賃金上昇率 1.0%)

ケースH(経済成長率 ▲0.4%、物価上昇率 0.6%、賃金上昇率 0.7%))

 以上の8つのケースを設定し、それに加えて出生率および平均寿命の変化となる死亡率でそれぞれ上位、中位、下位の場合があり得ますが、財政検証では出生率と死亡率両方が中位として以下の給付水準調整後の所得代替率として以下の率が検証結果として算出されています。

 参考までに出生率中位とは合計特殊出生率が2060年に1.35、死亡率の中位とは平均寿命が2060年に男性84.19歳、女性90.93歳として設定しています。

ケースA、中位

○ マクロ経済スライドによる調整は『基礎年金で平成56年度』、『厚生年金で平成29年度』で終了し、それ以後、『所得代替率50.9%』が維持されます。

ケースB, 中位

○ マクロ経済スライドによる調整は『基礎年金で平成55年度』、『厚生年金で平成29年度』で終了し、それ以後、『所得代替率50.9%』が維持されます。

ケースC, 中位

○ マクロ経済スライドによる調整は『基礎年金で平成55年度』、『厚生年金で平成30年度』で終了し、それ以後、『所得代替率51.0%』が維持されます。

ケースD, 中位

○ マクロ経済スライドによる調整は『基礎年金で平成55年度』、『厚生年金で平成31年度』で終了し、それ以後、『所得代替率50.8%』が維持されます。

ケースE, 中位

○ マクロ経済スライドによる調整は『基礎年金で平成55年度』、『厚生年金で平成32年度』で終了し、それ以後、『所得代替率50.6%』が維持されます。

ケースF、中位

○ マクロ経済スライドによる調整で平成52年度に所得代替率50%に到達。仮に、その後も機械的にマクロ経済スライドの適用を続けて財政を均衡させた場合、マクロ経済スライドによる調整は『基礎年金で平成62年度』、『厚生年金で平成39年度』で終了し、『所得代替率45.7%』になります。

ケースG, 中位

○ マクロ経済スライドによる調整で平成50年度に所得代替率50%に到達。仮に、その後も機械的にマクロ経済スライドの適用を続けて財政を均衡させた場合、マクロ経済スライドによる調整は『基礎年金で平成70年度』、『厚生年金で平成43年度』で終了し、『所得代替率42.0%』になります。

ケースH、 中位

○ マクロ経済スライドによる調整を機械的に続けたとしても、国民年金は2055年度に積立金がなくなり、完全な賦課方式に移行します。その後、保険料と国庫負担で賄うことのできる給付水準は、所得代替率35%~37%程度となります。

 以上が検証結果となりますが、ポイントは日本の成長率がどうなるか?と言うことで大きく所得代替率が変わってくると言う事、および今後ケースAで成長が出来たとしても50%程度の年金支給額となり、年金だけでは生活は難しく、それ以外に個人で不足分を補う工夫が求められることになります。

 社会保険労務士事務所 プラムアンドアップルでは、海外赴任経験者に対して海外年金に関する情報提供と申請代行サービスを行っております。これまでに海外赴任された方には海外年金受給資格の可能性があります。是非、赴任国、赴任時期によりご自身の受給資格についてご確認されますことをお勧めします。受給資格がありそう、ただ手続きが難しそうと思われる方には私共がお手伝いいたします。

国際シンポジウム「2020年へ、日本は世界に何を発信できるか」に参加して

 昨日、東芝国際交流財団、日経新聞社、日本経済センター主催の国際シンポジウムが有り参加しました。

 2019年にはラグビーのワールドカップ、2020年には東京オリンピック、パラリンピックが開催されますが、その時点までに日本力を世界にどのように発信、提案してゆくか?について考える催しで、600名の定員が一杯になるほどの盛況でした。

 バブルがはじけて二十数年経過しますが、閉塞感で抜け出せないと感じている日本はどうするべきかと言うテーマに対して、パネラーの討議が行われました。 何といっても大きなテーマは「少子高齢化をどのように克服するか?」です。

 第二次世界大戦の混乱期から奇跡の成長を遂げ、50年前の1964年東京オリンピックを契機に日本全体が成長していった時代はまさに人口ピラミッドが形成されて成長エンジンが出来ていました。しかし、それから50年が経過した2014年今年は65歳以上の人口が全人口の25.9%となっており、2020年には29.1%さらに2040年には40%になると予測されている世界のどの国も経験した事の無い超高齢化社会になってゆきます。その社会をどのように成立させるのか日本人の知恵が問われています。

 パネラーからは、日本はまだ製造業で世界No.1になった成功体験から抜け出せていないのが大きな課題であり、既に日本のGDPに占める製造業の割合は25%しか無く、サービス産業の割合が75%となっているにも関わらず、日本におけるサービス産業の生産性はアメリカの60%と大幅に劣っていることを十分認識できていないとの発言が有りました。 この認識を変え、かつ規制改革を大胆に実施する事によりサービス産業の生産性を上げる抜本改革が必要との発言でしたが、確かにその通りで日経ホールを埋めていた参加者を見渡しても主催者の東芝を含めたメーカー人間で今は定年を迎えたような60歳、70歳代の参加者の数が目立ち、我々自身の問題だと感じる場面でした。

 今の日本はこれまで企業が海外進出していた部分をインフラ関係の公共団体と企業(鉄道、水道、ごみ処理、環境保全)が日本の技術の海外進出に置き換えようとしている感覚が有りますが、それらだけでは無く不十分です。日本の製造技術の輸出では円安でもそのメリットが全く発揮されません。日本の高齢化社会克服のノウハウを、輸出し今後世界各国が迎える高齢化社会にそのまま活用できるようなサービス産業としてのビジネスにしてゆく、年金、介護、健康管理の取り扱うノウハウが他国で活用でき、付加価値の高いビジネスモデルとして構築できて行けば日本人のきめ細かく工夫してゆく日本人力が活用できるのではとの感想を持ったシンポジウムとなりました。

 

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2014年10月4日 | カテゴリー : 社会保障 | 投稿者 : naruse163

老後の生活資金

 老後の生活費はいくらかかるのでしょうか? 総務省「家計調査年報 平成24年家計の概況」では夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯の実収入は214,863円で。前年に比べ実質2.3%の減少、この結果、可処分所得は185,060円で、実質2.2%の減少となりました。一方、消費支出は242,585円で実質0.6%の増加となり、57,592円が不足分となります。 高齢夫婦無職世帯の家計収支2013

 年金相談センターに行くと、各ブースで年金相談をされている方がいらっしゃいますが、そのブースから「年金だけでは足りませんよ。」と言う声が漏れてくることが有ります。

 サラリーマンとして、毎月確実に給与が貰えているときにはさほど気にならない出費が大きく効いてくるのも定年後です。 じっくり計画しておきたいものです。

 

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「目標」と「目的」の違い

 皆様、日常的に「目標」と「目的」の違いを意識されていますか?

 辞書によると「目標」とは 1.そこに行きつくように、またそこから外れないように目印とするもの。射撃・攻撃などの対象。まと。 「目的」とは 1.実現しようと目指す事柄。行動のねらい。めあてと有りました。

 それぞれを説明されると何となく分かったような気持ちになりますが、その違いや差はよく分かるとは言えないような気がします。ただ、実はその違いが大事でその二つを意識して使い分けると日常の行動にメリハリが付けられるような気がします。

 例えば、オリンピックの短距離陸上競技選手であれば、「目標」は100メートルを10秒を切って走れるようになる事で、その「目的」はオリンピックでメダルを取る事となります。(現実にはボルト選手が居るので10秒を来るぐらいではメダルは取れませんが) あるいは、「目標」は体重を5キロ落とす事とし、その「目的」は血圧を含めて健康診断で引っかかっている項目を改善し健康な身体を取り戻し、快適な生活をする事となります。

 私どもが携わっている「年金」や「海外年金」についても、それを「目的」にしてはいけないような気がします。海外年金の正しい知識を把握し、受給資格に基づいた正しい受給申請を行い確実に受給する事を「目標」とし、その結果得られた生活資金により、老後の生活を豊かにする「目的」を達成すると言った様に認識する事が正しいのではないかと思います。

 この様に「目標」と「目的」を使い分けて意識する事により、何のために行動しているのかが明確に意識できると、その行動が楽しくなり飽きることが無くなるような気がします。

 

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健康寿命と平均寿命について

 日経新聞に「健康寿命、平均寿命に比較して延びず」と言うコラムが有りました。 私としては、非常に気になる話題です。

 最近の報道で男性の平均寿命が80歳(厳密には79.55歳)になったと報道され、男性もいよいよ80歳以上生きる人が半分以上いるのかと思われた方は多いと思いますが、実は重要なのはいくつまで生きているのでは無く、いくつまで元気でいるのかと言うことで健康寿命の方が重要でしょう。

 その健康寿命が男性の場合70.42歳の様で、平均しての話では有りますが(実は世の中に平均値の通りになる人は少ないのですが)男性の場合、70歳で残念ながら不健康になってしまい、80歳まで生きてしまうと言う事になります。 これは大問題です。不健康であれば、病院にかかったり、薬を飲んだりしなければならず、健康であれば必要の無い費用が掛かります。この事が益々国の社会保障財政を悪化させることにつながります。

 国民全員が規則正しい生活をし、ラジオ体操等の適度な運動をし、暴飲暴食を避け、楽しく元気な生活をしたいものです。そしてピンコロで人生を全うしたいものです。

 社会保険労務士事務所として、年金の事に携わっていますが、年金はあくまでも楽しく健康な老後を過ごすための資金の一つであり、安心して生きてゆくための手段です。私たちが最終的に目的とするのは、安心して老後を元気で楽しく過ごす事です。 これから冬に向かい、食べ物のおいしい季節になりついつい食べてしまい太りがちです。十分に注意して健康を維持したいものです。

 

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消費税10%の決断に向けて

 消費税10%の決断が年末までに行われる事になっており次の大きな政治課題になります。

 その判断材料となるのが、我が国の経済情勢についてどう見るかとなり、第15回経済諮問会議が9月16日開催され、有識者から経済情勢に関する報告が有りました。

 内閣府のホームページで資料を読むことが出来ますが、それを報告をまとめると、 経済の現状については、駆け込み需要の反動減は大きかったものの、均してみれば増加しているとの認識です。 今後の経済情勢を見る視点としては①消費の安定的増加、雇用者数、賃金の伸びと消費者マインド ②企業収益の動向、民間設備投資の強さ ③輸出入の動向、④物価動向 ⑤マーケット(株価、為替、金利等)の動向に注視すべきと報告しています。

 今後の成長については民需寄与の拡大が重要とし、「民需主導」を実現するために(1)利益増加と賃金上昇の好循環へ (2)稼ぐ力を強化すべき (3)3つの供給制約の克服を挙げ 具体的に3つの供給制約は ①労働力 ②投資資金 ③エネルギー価格を挙げています。

 労働力については、今安倍首相がニューヨークの国連で演説した女性の労働力率(15歳から64歳人口)の増加を挙げ、さらに働きたい高齢者層についても触れています。まさに我々に直結した課題です。

 平成25年にすでに消費税値上げは消費税法として成立しており、その収入の使途は以下のような文章で明確化されております。         「国分の消費税収入については、毎年度、制度として確立された年金、医療および介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する経費(社会保障4経費)に充てるものとされました。」(注)地方消費税収入(引上げ分)および消費税収入に係わる地方交付税分については、社会保障4経費を含む社会保障施策に要する経費に充てるものとされています。

 つまり既に使い道が決まっており、消費税を上げることが出来ないと予定している社会保障政策に不都合が出てくることになります。一方では消費者感覚として野菜や電力・ガソリンの高騰で家計的には厳しくなっており、これ以上消費税が上がるのは厳しい所です。 非常に難しい判断であり注目したいと思います。

 

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スコットランドの独立が実現するかどうか?

 スコットランドが独立するかどうかを決める住民投票が現在進行形で行われています。

 私たちがイギリス赴任にしていたのは1987年から1991年ですが、1990年の夏休みのタイミングに家族が用事が有って日本に一時帰国をした際に友人のHOさんと二人で車にゴルフバッグを積んで出かけた事を思い出します。エジンバラで「ミリタリー・タトゥー」を見て、セントアンドリュースでゴルフをし(残念ながらオールドコースではできませんでしたが)、アバディーンでウイスキーの蒸留所へ行き、スカイ島の島々をフェリーで渡りそれはそれは楽しい夏休みでした。

 イギリスでは一般的に北の人は優しく、南の人は冷たいと言う話が有ると聞きました。(これはあくまでも一般的な話です。)ここでの北は、イングランドでの北の方であり、またスコットランドもその北に含まれます。南と言うのはロンドン地区の事です。

 北海油田はスコットランドの東側にあります。(北海油田のリブで働く人たちは多くの人がアバディーンからヘリコプターで北海油田のリブまで飛んでゆくのですが、その際に緊急脱出設備の説明を毎回行う必要がありその作業改善をするためにビデオ機器を使う仕事に関係したことが有ります。)そこから得られる利益がほとんどすべてイングランドに抑えられているのは感情的に感じてしまうものが有るのは判るような気がします。 石油に次ぐ第二の産業のウイスキー産業にも大きな影響が出るかもしれません。アバディーンの近くでゴルフをしたときに、コースの横に清水が湧き出ており、それをそのまま飲めるのですが、その水が甘かったことは忘れられません。

 United Kingdomの一部のスコットランドが1回の住民投票で独立するかどうか決めることが出来ると言うのは、なんと民主的な国かと驚きますが、もしスコットランドが独立するとなると、ベルギーの一部やスペインのカタルーニャ地方やらあちこちで独立国が出てきそうで、まさに歴史が変わってしまうことになります。 独立の住民投票について高年齢層では年金の事が心配で反対している人が多いとニュースが報じていましたが、日本人が受けるイギリス年金にも影響が及ぶかもしれず、イギリスの社会制度が根本からひっくり返る大きな影響が出てきます。明日の朝の結果に注目したいと思います。

 

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Appleの新ビジネス アップルPAYについて

 AppleのスティーブジョブズがマッキントッシュやiMACを発表したサンフランシスコのフリントセンターで9月9日 Apple September Event2014が開催されました。

 皆が待っていたiPhone6とApple Watchが予定通り発表され、9月12日からの予約受付、9月19日からの発売となっており、その予約数がこれまでのiPhoneの中でも最大とニュースになっております。

 私も1990年ごろ赴任先のアメリカニュージャージー勤務の時にIICiを購入し、マックファンになりました。その時の感動は今でも覚えています。箱を開けてからケーブルを接続する事があまりにも簡単で、ケーブルについているマークと色を合わせれば誰にでも接続でき、それまでは左右上下にカーソルを動かしてタイプする位置を決めていたものが、マウスと言う新しいヒューマンマシンインターフェースに置き換えられてしまった事に驚き、さらにマウスの使い勝手になれるために蠅たたきのゲームが標準で付属されていた事に三度びっくりしました。

 その後のAppleの躍進は皆様ご存知のとおりです。 今回のApple- Spetember Event2014 はいつもの通りYou Tubeで見ることが出来るので、気になってこの3連休に見ましたが、さすがにプレゼンテーションは一流で、会場の盛り上がりが半端では有りませんでした。是非、ご覧になっていない方は、ご覧いただくことをお勧めします。

 ただ、私が一番すごいと感じたのはiPhone6や、6Plusでは無く、Apple Watchでも有りませんでした。Apple ペイと言うクレジットカードに代わる決済方式のプレゼンに驚きと革新性を感じました。

 私がアメリカに赴任したのは1980年から1981年、1991年から1996年、2005年から2006年の3回、合計7年間半ですが、いずれの赴任期間もクレジットカードが全ての社会でした。この事は今でも変わっていないと思います。日本ではスイカやパスモが鉄道切符の代わりに出てきて、それがコンビニで使えるようになり、さらにはそれ以外の小売店でも使えるようになっており、更にそれが携帯電話での決裁に広がりクレジットカードが全てのアメリカとはすこし感覚が少し違いますが、特にアメリカでは外出時の支払いのほとんどはクレジットカードになっています。

 そこで問題が起こりました。ガソリンスタンドやレストランでスキミングされたとしか思えない事故がたびたび起こりました。クレジットカードそのものを他人に手渡し、店員が機械にかけるために店の中に持っていってしまうことは、まさに泥棒に盗んでくださいと言わんばかりの場面でした。今でもその点についての大きな改善は有りません。仕事での出張中にクレジットカードの入った財布を落としたかあるいは盗まれた時は大変でした。たとえ真夜中で有ろうと何時で有ろうと、何枚も持っているクレジットカード会社に連絡し、止めてもらう必要が有りました。更に再発行するまでの手間と時間はまた一苦労でした。

 それらの問題が、ひょっとすると今回のアップルPAYで解決するかもしれません。アップルPAYではクレジットカードに書かれている番号は必要ありません。磁気カードも有りません。支払先のカード会社が何を購入したかの情報も伝わりません。クレジットカードの裏面に書かれている3つの数字がセキュリティ番号と呼ばれていますが、それは気休めの3数字ですが、それも有りません。個人認証は指紋で行われます。もし、iPhoneを落としてしまったり、盗まれてしまっても指紋認証が出来ないので、お金を使われてしまうことは有りません。大事なスマートフォンなので、探すことはすると思いますが、iPhoneでは探すこともできます。

 iTunesが発表された時にはスティーブジョブズが世界の5大音楽配信会社と話を付け、多くのミュージシャンの曲がiTuneで販売できる様説得した話は有名ですが、今回もアップルPAYでの決済をVISAカードやAMEXカードが承認しており、アメリカ最大のデパートMACY’s、BloomingDaleやDisneyでもすぐに使えるようになるとの事です。 カード決済をアップルPAYに置き換えることにより、Appleがいくらのコミッションを貰えるようになるのかは知りませんが、iTunesやAppleストアでの稼ぎを考えると、この収入減が新たなAppleの収入減になることは容易に推測できます。 すごい事です。改めてAppleのすごさを感じる瞬間でした。

 いつもこのブログで書いている社会保障問題とは、少し視点が違っていますが、イノベーションを起こすことは重要な事であり、それにより社会や生活スタイルが変わって行く事には注目しておく必要が有ると思います。

 

 社会保険労務士事務所 プラムアンドアップルでは、海外赴任経験者に対して海外年金に関する情報提供と申請代行サービスを行っております。これまでに海外赴任された方には海外年金受給資格の可能性があります。是非、赴任国、赴任時期によりご自身の受給資格についてご確認されますことをお勧めします。受給資格がありそう、ただ手続きが難しそうと思われる方には私共がお手伝いいたします。

2014年9月16日 | カテゴリー : 海外事業 | 投稿者 : naruse163

平成26年版労働経済白書が閣議報告されました。

 昨日(9月12日)の閣議で厚生労働省から「平成26年版労働経済の分析」(通称「労働経済白書」)が発表されました。

 安倍首相も使っている言葉として、我が国が世界に誇る最大の資源は「人材」である言う言葉の通り、日本の安定的発展のためには若年層から熟年層までの人材活用が重要であるとの認識の下、その能力を存分に発揮できる「全員参加の社会」の構築が必要だという観点から報告書がまとめられています。 すこし長くなりますが、報告全体のまとめの部分について以下に共有したいと思います。

まとめ

我が国経済は、2012年年央から欧州政府債務危機に伴う世界景気の減速等により弱い動きとなったものの、2013年に入って、経済政策への期待等から株高が進んだこと等を背景に企業や家計のマインドが改善し、内需がけん引する形で、景気は持ち直しに転じ、足下では緩やかな回復基調にある。生産や企業収益が改善する中で、雇用情勢は着実に改善した。雇用者が前年差約50万人と大きく増加する中で、完全失業率は着実な低下を続け、2014年3月には3.6%となり、リーマンショック前の水準まで回復した。また、2013年11月には有効求人倍率が6年1か月ぶりに1倍を超え、2014年3月には1.07倍となった。こうした中で、経済の好循環を持続するためにも、企業収益の改善を家計へ所得として還元し、さらなる消費拡大につなげていく取組が求められている。「平成26年版労働経済の分析」では、こうした昨年度を中心とした労働経済の状況を分析するとともに、賃金の上昇を可能とする環境の整備に向けて検討した。さらに、「人材こそが世界に誇る最大の資源である」という認識の下、「人材力の最大発揮に向けて」と題し、企業の人材マネジメント、労働者のキャリアの形成に関して分析を行った。

 第1章では、「労働経済の推移と特徴」と題し、2013年度における景気回復過程について、雇用面を中心に概観するとともに、景気回復を着実なものとするための経済の好循環の確立に向けた課題を分析した。2013年に入り企業の生産(活動)水準が高まる中で、所定外労働時間のみならず、非製造業を中心に就業者数が大きく増加した。企業収益も改善し、賞与については、夏季賞与・年末賞与ともに数年ぶりの増加となった。こうした中で消費支出も増加し、経済の好循環に向けた動きがみられている。また、為替の円安方向の動き等により物価が上昇する中、賃金も持ち直しの動きをみせている。賃金については、景気回復に伴い企業収益・雇用情勢の改善がみられたこと、さらに「経済の好循環実現に向けた政労使会議」において、政労使の三者が企業収益の拡大を賃金上昇につなげていくという共通認識に至り、これを踏まえた労使間での交渉の結果、2014年の春季労使交渉において、定期昇給相当分の維持に加え、多くの企業で賃上げの回答が行われる等、明るい動きがみられている。こうした動きに期待するとともに、人的資本の蓄積による労働の質の向上を図り、労働生産性を高めることにより、更なる賃金上昇が期待される。 今後は景気の着実な回復に向け、企業収益の拡大が速やかに賃金上昇や雇用拡大につながり、消費の拡大や投資の増加を通じて更なる企業収益の拡大に結び付くという経済の好循環を確実なものとしていくことが重要である。

 第2章では、「企業における人材マネジメントの動向と課題」と題し、企業を取り巻く環境変化の中で、企業がどのように人材を管理・育成し、競争力を高めていくのか、企業の人材マネジメントについて分析を行った。 進展するグローバル化、ITを始めとする技術革新の影響や経営の不確実性の増大等によって企業を取り巻く競争環境が変化する中で、企業は置かれている環境、直面する課題に応じて、正規雇用労働者・非正規雇用労働者といった二分法ではとらえることのできない多様な人材を組み合わせて事業を展開している。 我が国の企業では、外部環境の変化に伴い、賃金決定要素の変更や賃金プロファイルのフラット化などのマネジメント面での変化がみられる。我が国では内部労働市場重視の企業が多くみられるが、外部労働市場重視の企業と比べて、労働生産性や就労意欲を高めるための雇用管理事項に取り組んでいる割合が高い。また、多様な正社員の普及により、様々な人々がより満足度の高い働き方を選択することが可能となり、企業における人材の確保や生産性の向上に資するものと考えられる。多様な人材を活用する中で、人材育成は企業経営上の重要な課題と考えられており、正規雇用労働者は、若年層での計画的・系統的なOJT、中堅層では多様な人事異動等により、企業内でのキャリア形成が図られている。一方、正規雇用労働者に比べると、非正規雇用労働者への能力開発機会は乏しくなっている。企業において、非正規雇用労働者がその意欲と能力に応じて正規雇用労働者への転換を始めとする活躍の機会が積極的に広がることが期待される。労働者の就労意欲が高い企業は、労働者の定着率や労働生産性、さらに売上高経常利益率も高い傾向にある。このような企業では、正規雇用労働者・非正規雇用労働者を問わず、広範な雇用管理に取り組むとともに、人材育成に対しても積極的に取り組んでいる。さらに、企業の要となる人材として管理職層に着目すると、仕事を通じた経験が管理職層に必要とされる能力を高めていく。

 第3章では、「職業生涯を通じたキャリア形成」と題し、我が国における職業キャリアの現状や動向について概観し、円滑な労働移動を実現するための課題等を分析するとともに、出産・育児、介護等の生涯における出来事と職業キャリア、不本意非正規雇用労働者の正規雇用への移行について分析した。 我が国における職業キャリアの現状をみると、男性では一つの職場で長期間勤務するような長期雇用キャリアが多い一方、職業生涯の中で転職を複数回行うような職業キャリアも決して少なくなく、高所得者を中心に積極的な転職を行う層も存在している。円滑な労働移動を促進していくためには、労働者の自発的な転職が増えるような環境整備が必要であり、そのためには、デフレ脱却により成長産業を中心として名目賃金が上昇していくことが望まれる。また、非自発的な離職を余儀なくされる労働者に対しては、送り出し企業による支援や公共職業訓練等の公的支援の充実が必要であると考えられる。さらに、労働者の職業能力の標準化や見える化により、転職時にその職業能力が十分評価されるような環境づくりも必要であると考えられる。 人口減少、高齢化の進行、女性の一層の企業での活躍への期待、介護問題の深刻化が見込まれるなかで、出産・育児、介護等の生涯における出来事に対応して、健康を維持しながら、職業生活と家庭生活の両立が困難なことによる不本意な離職を防ぎ、それまでに培った職業キャリアを活用し、生涯を通じて希望する働き方が実現することが望まれる。非正規雇用労働者については、特に、正規雇用を希望しながらそれがかなわず、非正規雇用で働く者(不本意非正規)の支援が求められる。前職が非正規雇用の労働者が正規雇用へと移行する際には、前職の職業と同じ職業で移行する割合が最も高くなっている。また、正規雇用へと移行した者の特徴を統計的に分析すると、年齢が若いほど正規雇用への移行可能性が高く、また学卒後の初職の形態、前職での経験、また公的助成による学び直し等が、正規雇用への移行に影響している。

 まとめは以上です。

 この報告は、労働経済白書ですが、社会保障問題と直結した内容であり、注目する必要が有ります。これまで60歳定年制の企業が65歳までの雇用延長を取り入れているものの現実的には社内退職者扱いの要素は多く、現役社員と退職者の壁が有るように感じられます。 年齢とは別の個々の知識・経験を含めた仕事ができるかどうかの能力で評価される仕組みが必要です。かと言って若年層の成長の妨げにはなってはならず、社員全体で成長してゆく事が必要です。これにより、社会保障制度に依存するのではなく、自立する意識が必要だと考えます。

 一方で、女性が活躍できる環境をどのように整えてゆくかが課題で、女性自身のキャリア形成の問題と少子化対策と関連して重要な課題です。 報告書の中にも有りますが、グローバル化の進展により労働環境はグローバルに広がりかつ海外からの労働者の流入も進んできています。 私たち、海外赴任経験を持ち、グローバルに勤務してきた経験者として今後の労働環境の変化とその対応に注目してゆきたいと思います。 報告書の詳細については、厚生労働省ホームページをご覧ください。

 

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2014年9月13日 | カテゴリー : 社会保障 | 投稿者 : naruse163

シンガポールの社会保障制度は積立制度

 アジア地域への企業進出が盛んですが、その中心はシンガポールです。

 アジア諸国のハブとしての役割を果たしており、各国へのアクセスに関して地理的に中心であり、かつ各国への投資の拠点にもなっています。法人税が世界の主要国の中でも非常に低く(最高でも18%、ただし実際には10%程度が多い)日本の40%とは比較になりません。物価はかなり高く、住宅価格、自動車価格については企業にとって負担ではありますが、安全で教育レベルも高く、企業が赴任者を出す点では全く問題なく、アセアン諸国に製造拠点や販売拠点を置きながら、シンガポールは地域のヘッドクオーターとして統括会社を配置する企業が多くなっています。日本人赴任者からの希望も高く、チャンギ―空港の近くにある日本人学校も西地区にある日本人学校も生徒数が増えています。この事は日本にとってだけでは無く、欧米の企業にとっても同じ条件の為、欧米人もかなり多く見かけます。樹木の多い丘陵地区に高層マンションがにょきにょき立ち並び、プールやジャグジー、BBQやフィットネスの設備までそろった高級住宅が目につきます。 シンガポールの全人口500万人の3分の1が外国人だと言うこともうなづけます。(ただし、国籍的には外国人でも中国人が多数です。)

 そのシンガポールは、現首相のリーシェンロン首相のお父さんのリークアンユー氏が1945年の建国から発展までの立役者で有ることは有名です。まだまだ建国から49年の若いシンガポールですが、社会保障制度では日本や欧米諸国の取っている賦課方式ではなく、積み立て方式を取っています。このため、日本からの赴任者は社会保険料を支払う義務は有りません。昨年、一昨年とシンガポールに出張した際に、タクシーの運転手さんにシンガポールの景気はどうですか?と聞くと、「儲かっているよ。今まで持っていたアパート(日本ではマンションと呼びますが)が非常に高くなりうれしいよ。」とポジティブな話を聞きました。地下鉄に乗ると若い人で満ち溢れており、オーチャード通りには買い物客が多く活況を呈しています。

 しかしながら、国としての課題も有ります。出生率が1.19と日本よりもさらに低く、すでに人口の10。5%が65歳以上になっており、高齢化が急速に進む事が予測されています。 社会保険制度積立方式で、社会保険料としては、被用者の支払い分は月収がS$500からS$1499までの人は年齢、収入により一定額。月収がS$1500以上の人は50歳以下で20%、50歳以上で5%から18。5%となっています。これに対して、雇用者側は月収がS$500からS$1499で35歳以下の場合は16%、月収がS$1500以上の場合は50歳まで16%の支払いとなります。 これらの掛け金を年金基金が運用し、55歳の時に引き出すことが出来、家を買ったりする場合は55歳前でも引き出すことが出来るようです。また、シンガポールを離れる場合あるいは65歳になった場合は残額を引き出すことも可能な様です。 少子高齢化に影響されない積み立て方式ではありますが、物価や給与は年々上がってきており、昔の掛け金が後の生活費必要資金としてどこまで充足できるのかが課題で、政府として特に高齢者介護施設の充実が課題となります。

 シンガポール以外のほどんどの国で採用されている賦課方式では次の世代が高齢者を支える形ですので、インフレについては大きな問題は有りませんが、少子高齢化は大きく影響してくると言う課題があり、積み立て方式も賦課方式も双方に一長一短があります。 日本からの赴任者の場合は、この社会保障制度に加入の義務は無く、社会保険料は支払っていないと聞いております。その点で赴任元企業としての負担は軽減されていることになります。

 

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