英国年金 New State Pension制度での受給

 今年(2016年)より英国年金の制度変更が行われておりますが、その制度についても私共の方で申請代行を行い、受給が開始されております。10年間の英国社会保険加入が条件となっており、それまでの短期間の赴任で支給が認められたケースに比較し申請が難しくなっておりますが、手順を踏んで申請を行う事により、英国年金の受給が可能となります。該当されると思われる方は、是非お問い合わせください。

英国年金 New State Pension制度の概要は以下の通りです。

日英社会保障協定が発効した2001年2月以前に英国でご勤務され、2016年4月6日以降に65歳の受給年齢を迎えられる方には、申請制度 New State Pension制度が適用となっております。
この制度の適用となる方が受給資格を得るためには、10年間の社会保険加入期間が必要となります。日本と英国間には社会保障協定が存在しますが、期間通算は出来ない内容となっており、英国単独での10年間の社会保険加入期間が必要となります。
英国でのご勤務が10年に達しない場合は、以下の(1)から(3)手続きを行う事により英国年金の受給権利を構築する事が可能で、その後(4)の受給申請となります。
(1)ご自身の英国社会保険番号の調査
(2)ご自身の英国年金記録の調査
   英国年金社会保険加入認定期間の確認と、任意加入の必要年数の確認。
(3)Voluntary Contributionの申請と支払い
以上を行う事により、受給権利の構築が可能となります。
(4)受給申請(受給年齢の4か月前から受理されます。)

ご注意:
(A) Voluntary Contributionについては、英国での社会保険加入期間が3年間以上ある方に限られます。
(B) 海外年金の社会保険料の追納について、英国でのVoluntary Contributionは、社会保険料支払い控除としては認められません。
 日本での確定申告で控除が認められているのはフランス年金保険料のみとなります。(2002年 租税条約改定にて)
(C) 英国との社会保障協定締結国での社会保険加入期間の通算
 日英社会保障協定では社会保険加入期間の通算は認められていませんが、英国と社会保険加入期間の通算が可能な社会保障協定を結んでいるEEA諸国およびアメリカ等との間での通算は認められます。
(D) 配偶者年金について
New State Pensionでは、配偶者年金は廃止されています。

英国年金の生存証明とその認証

今週(平成28年7月)に入り多くの英国年金受給者に生存証明書の連絡が届いております。

英国年金の支給を担当するthe Department for Work and Pensionsでは、概ね2年に一度、英国国外の受給者の生存証明確認を行っており、受給権利の失効した(死亡した)受給者への支給及び「なりすまし」による不正受給を防止する活動を行っております。

受給者に届く生存証明回答指示書は、受給者本人が生存中であり、受給を継続する権利が有る事を確認する目的で送付されたものとなり、発行日から8週間以内に、本人申告分と証人の認証書類の返送を行うよう指示をしており、その期限までに回答が無い場合は、英国年金の支給を停止しております。

英国内の報道では、海外での不正年金受給が多くなっている事が報道されており、昨日のThe Telegraph紙に以下のような生存証明に関する記事が出ておりました。

Today hundreds of thousands of pensioners do live overseas – and, thanks to a government anti-fraud measure, they are discovering that their state pension is at risk of being cut off if they “fail to prove they are alive”.

Since 2013 the Department for Work & Pensions (DWP) has been making expat pensioners fill in official forms to stop their friends and relatives fraudulently claiming their state pensions after they have died.

When the Government introduced the measure it said the regime would save taxpayers £45m between 2014 and 2017. A DWP spokesman said: “This is taxpayers’ money we’re talking about – and we don’t want it to be spent on fraudsters. As long as pensioners complete the forms and send them back to us within a reasonable time frame they should have no problems.”

受給者が死亡した後も、親戚縁者が生存証明を偽る不正受給が多く発見されており、その対策として公的に認められた機関での認証が必要となっている物で、その対策により2014年から2017年で45百万ポンド(約60億円)の支出が免れたとの記事でございます。

生存証明の認証については、私共の方での対応も可能です。ご依頼の場合は、お問い合わせぺーじよりご連絡いただきたくお願いいたします。

英国年金の新制度 New State Pension がスタートしております。(2016年4月6日)

英国年金の新制度 New State Pension がスタートしております。

多くの方からお問い合わせをいただいております英国 New State Pensionが昨日(2016年4月6日)から開始されております。英国年金はこれまでも数回の大きな制度変更が有りました。被保険者の生年月日により、適用される英国年金制度が大きく異なってきます。

生年月日(男性の場合) 加入期間 受給年金 英国年金
1945年4月5日以前

満額44年間

最低加入期間11年間

基礎年金については、最低加給期間が必要。

ただし付加年金(国民第二年金)についてはそれ以下でも可能性有り。

1945年4月6日以降

1951年4月5日以前

満額30年間

最低加入期間1年間
最低加入期間を満たせば、基礎年金、付加年金とも受給可能。
1951年4月6日以降

満額35年間

最低加入期間10年間
従来の2階建て制度が1階建てに一本化。最低加入期間10年が必要。

また、海外年金受給資格は、現地での社会保険への加入が必須となり、日英社会保障協定発効月以前の英国勤務か以後の英国勤務かにより大きく異なってきます。

英国赴任時期

英国社会保険制度への強制加入 受給資格
2001年1月以前 強制加入 可能性有り
2001年2月以降 日本の社会保険加入を条件に英国での社会保険加入免除 可能性発生無し

2016年4月6日以降に受給年齢(65歳)に達する方については、英国赴任期間が10年に満たない場合、New State Pensionの新制度により受給資格が発生しない事となりますが、ご自身の赴任期間にVoluntary Contribution(任意加入)期間を加える事により、10年間の最低加入期間を満たし受給資格を生むことの可能性が有りますので、その制度活用の検討をお勧めいたします。

 なお、Voluntary Contributionの1年間分の保険料は概算700ポンドとなりますが、被保険者の年齢その他条件により変わり、また10年に満たない年にもより変わってきます。正確には、被保険者自身の年金記録の確認と10年間を満たすために必要なVoluntary Contributionの金額算出依頼をお勧めいたします。

 【ご注意】

日本と社会保障協定を結んでいる主要国では、日本での社会保険加入期間を通算し、現地国の受給資格年数を満たす事が可能ですが、英国の場合、日本は通算可能対象国となっておりません。

海外年金を受給されている方は確定申告が必要となりました。

 平成27年(2015年)分の確定申告から海外年金受給に関する対応が、平成26年の税制改正により変わっておりますのでご注意ください。

 平成26年(2014年)分の確定申告までは、その年中の公的年金等の収入金額が400万円以下であり、かつ、その年分の公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下である場合には確定申告の必要はありませんでしたが、平成27年分よりは、海外年金の収入が有る場合は確定申告が必要となっております。

 これまで、海外年金は外国からの収入だから、少額だから等の理由で申告されておられない方が多いようですが、それは誤りです。確実に申告いただきますようにお願いいたします。


(詳細は、国税庁タックスアンサーNo.1600をご覧ください。本ホームページ「公的年金の課税について」にも記載しております。)

また、海外年金が海外で源泉徴収されている場合は、外国税額控除についてもご検討ください。

(詳細は、国税庁タックスアンサーNo.1240をご覧ください。本ホームページ「外国税額控除について」にも記載しております。)

日・フィリピン社会保障協定(仮称)交渉における実質合意

24日(2015年8月) 厚生労働省は日本・フィリッピン間の社会保障協定(歌唱)交渉において実質合意したと次の内容について記者発表を行いました。

1.8月20日,日・フィリピン両国政府は,日・フィリピン社会保障協定の第2回政府間交渉を実施し,同協定について実質合意に至りました。今後,双方は,協定案文の確定等,必要な作業及び調整を行い,協定の年内署名(下記参考1参照)を目指します。

2. 現在,日・フィリピン両国からそれぞれ相手国に派遣される企業駐在員等について,日・フィリピン双方の社会保障制度に二重に加入を義務付けられる等の問題が生じています。

3.日・フィリピン社会保障協定の締結により,これらの問題を解決することができ,両国間の人的交流及び経済交流がさらに促進されることが期待されます。

 

新聞報道によれば、今年年内に国会承認を経て発効するとされておりますが、これまでの海外赴任者に対する取り扱い等を含めての具体的な内容については、未発表となっております。情報入手次第、ご報告いたします。

オーストラリア Superannuation(退職年金)の情報を追加いたしました。

 私共のホームページをご覧いただいた方からのご指摘をいただきまして、オーストラリア年金のページに Superannuation(退職年金)の情報を追加いたしました。

 オーストラリアの年金制度には税を財源とする社会保障制度のAge Pension(老齢年金)と、保険料を財源とする退職年金保証制度Superannuation(退職年金)があります。Age  Pensionは生活保護的色彩の強い年金で、対象となるのはオーストラリアに10年以上住む居住者(市民権又は永住権保持者)であり、日豪社会保障協定により日本の年金制度と通算が行なわれるのはこの社会保障制度です。

 一方、Superannuationは退職後の生活のための積立で、雇用主が被雇用者のためにスーパー運用基金(Super Fund)に支払います。オーストラリア滞在中にSuperannuationに加入していた有資格者は、オーストラリア国税局(Australian Taxation Office)に換金請求をすることができます。(在日オーストラリア大使館 HPより抜粋)

 この事から、Temporary Resident Visa による赴任の場合は、Age Pension(老齢年金)の受給資格は認められておりません。一方で、Superannuation(退職年金)の受給資格が発生する可能性が有ります。一般企業の海外赴任者としてオーストラリアで海外勤務された方以外にもワーキングホリデー等でオーストラリアで就労された方もその対象となる可能性が有ります。

 Superannuation(退職年金)受給には以下のすべてに当てはまる必要が有ります。

  • オーストラリアにTemporary Visaで滞在した人。(オーストラリア市民、ニュージーランド市民、退職ビザ保持者は対象外です。)
  • 既にオーストラリアを離れ、再びオーストラリアに戻る意思のない人。
  • 取得したオーストラリアのTemporary Visaは既に期限切れかあるいはキャンセルされていること。
  • オーストラリアの退職年金を管理するSuper Fund(スーパー運用基金)で退職年金を管理している事が確認できている事。(Super Find名の提示が必須です。)
  • オーストラリアを離れて5年以内で有る事。

 オーストラリアに海外赴任した経験者はご自身が受給資格が有るかどうか是非ご確認されますことをお勧めいたします。

社会保険労務士事務所プラムアンドアップルでは海外年金の情報提供と申請代行サービスをご提供しています。

2014年11月19日 第28回社会保障審議会 年金部会での討議

 社会保障審議会 年金部会で今年これまでに論議されたことのまとめが行われ、それを傍聴してきましたので、その内容について供給したいと思います。部会のテーマは、「これまでの論議の整理」各委員から出た色々な論議を以下の様にまとめていました。

①労働参加の促進とそれを通じた年金水準の確保

○ 労働力人口が減少し、平均寿命が伸長する中、国民一人一人が健康で安定した生活を営み、経済社会も持続的に発展していくためには、年齢や性別に関わりなく就労できる機会の拡大を進め、労働参加を促進するとともに、それを反映した年金制度に改革することで、安心できる給付水準の確保が図られることとなる。

○ この観点からは、就労インセンティブを阻害しない制度設計、働き方の選択に中立的な制度設計、より長く働いたことが年金給付に適確に反映される制度設計が求められる。

② 将来の世代の給付水準の確保への配慮

○ 将来の保険料負担水準を固定した制度設計のもとで、現在よりさらに少子・高齢化の進む将来の世代の給付水準を確保するためには、マクロ経済スライドによる年金水準の調整を早期に確実に進めていくことと、年金制度を支える生産活動とその支え手を増やすこと以外に方法はない。

○ この観点からは、①で前述した制度設計に加え、年金の改定(スライド)ルールの見直しによって年金水準の調整を極力先送りしないような配慮が求められる。

③ より多くの人を被用者年金に組み込み、国民年金第1号被保険者の対象を本来想定した自営業者に純化

○ 国民年金は元来被用者年金の適用対象とならない自営業者をカバーする制度として創設されたが、現在、第1号被保険者のうち自営業者の占める割合は2割程度に過ぎず、被用者年金の適用を受けない給与所得者が多数を占めるようになっている。

○ この問題は、これまで被用者にふさわしい保障を確保する観点から論じられてきたが、これに加えて、将来の年金水準の確保や働き方に中立的な制度設計、年金制度における同一世代内の再分配機能の強化等の観点からも有効性と必要性が再認識された。

④ ①~③を通じた基礎年金の水準低下問題への対応

○ 年金水準は厚生年金の標準的な年金額(夫婦の基礎年金と報酬比例年金の合計額)を指標として評価する仕組みとなっているが、基礎年金は就労形態を問わず全国民に共通して保障される仕組みであること、被用者年金制度においては報酬の低い者にも高い者にも共通する再分配機能が働く給付設計となっていることを踏まえると、基礎年金のスライド調整期間が長期化し、その水準が相対的に大きく低下する問題は放置できない。

○ 財政検証に際して行ったオプション試算からは、これまで述べてきた①~③の措置はいずれも基礎年金の水準低下幅の拡大を防止し、あるいは水準回復につながる効果が期待でき、この観点からも有効性と必要性が再認識された。

⑤ 国民合意の形成とスピード感を持った制度改革の実施

○ ライフコースの多様化、制度改革が及ぼす効果や影響がライフステージにより異なることなどから、その内容や必要性について、丁寧な説明による国民合意の形成を図りつつ改革を進めていく必要がある。また、制度が経済社会に及ぼす悪影響の回避や適確な運用体制の整備にも配慮が必要なことは言うまでもない。

○ しかしながら、我が国の少子・高齢化等、経済社会の変化のスピードが急速であることを考えると、それに対応した制度の見直しはスピード感を持って行うこと、社会の変化のスピードに対応できなかった場合には、見えない別の形でコストを要することになることも念頭に置き、できることから機を逸せず不断に改革を進めていくことが求められる。

 

以上がまとめの内容となります。

このニュースの項目には、事実のみの掲載としたいので私自身のコメント等については本日11月20日付けのブログへ書いてみたいと思います。

オランダとベルギーの海外年金情報を更新しました。

今年2014年にオランダとベルギーについても改定が有りましたので、年金情報を更新しております。

 オランダについては、受給年齢が65歳から65歳2か月に変更されています。また、雇用者の遺族年金に関する社会保険料率が1.1%から0.6%に減額されています。

 ベルギーについては、繰上げ受給の年齢が35年間の加入条件で60歳だったものが、39年間の加入条件で61歳に変更されています。

 

社会保険労務士事務所プラムアンドアップルとして、出来る限り最新の情報の提供を心掛けておりますが、その正確性、最新性および完全性を保証する物では無い事についてはご容赦をお願いしております。

イギリス、ドイツ、フランスの海外年金情報を更新しました。

 イギリス、ドイツ、フランスの海外年金情報について2014年に改定されている情報を得ていますので、更新しました。

 イギリスについては、30年間加入の満額で週107.45ポンド(2012年4月)から113.10ポンド(2014年4月)に、配偶者加算が週64.4ポンド(2012年4月)から67.8ポンド(2014年4月)となっております。

 ドイツについては、社会保険料率が雇用者、被用者とも9.8%から9.45%に変更、標準社会保険料支払い者の1年相当の年金金額が月額27.47ユーロから28.14ユーロに変更になっています。また、ポイント制が採用され標準加入者のポイントを1.0とし、加入条件により加算や減算され、支給金額が決定されます。

 フランスについては、社会保険料が雇用者が8.3%から8.45%へ、被用者は6.65%から6.8%に上がっています。また、受給年齢が61歳2か月(2014年3月改定)に繰り上がっております。

 

 プラムアンドアップルでは、最新情報を得た時点で、出来るだけ最新の情報を掲載するようにしたいと考えております。しかしながら、全ての改定内容の把握を行うのは難しく、詳細については各国の年金機関による確認が必要となります。

在留外国人数の推移

 法務省は平成26年6月末現在における在留外国人数(中長期在留者数及び特別永住者数を合わせた数)を公表しています。

 以下はその発表の内の平成24年から平成26年までの抜粋です。

在留外国人の推移

(注1)「中長期在留者」とは,入管法上の在留資格をもって我が国に在留する外国人のうち,次の①から④までのいずれにもあてはまらない人です。なお,次の⑤及び⑥に該当する者も中長期在留者にはあたりません。

① 「3月」以下の在留期間が決定された人

② 「短期滞在」の在留資格が決定された人

③ 「外交」又は「公用」の在留資格が決定された人

④ ①から③までに準じるものとして法務省令で定める人(「特定活動」の在留資格が決定された,亜東関係協会の本邦の事務所若しくは駐日パレスチナ総代表部の職員又はその家族の方)

⑤ 特別永住者

⑥ 在留資格を有しない人

 


  外務省が発表している平成25年10月時点の海外在留邦人数は125万人ですので、日本に在留する外国人数がそれを上回っていると言えます。