カナダ年金のクロールバック(払戻し)制度の仕組み

 カナダの年金は、税方式の老齢保障年金(OAS)と社会保険方式のカナダ年金制度(CPP)がありその上にそれ以外の私的所得の有る構造になっています。

 そのうちの、カナダの老齢保障年金(OAS)は、全額税財源により支給される年金制度ですが、受給者のうち、OAS以外の所得額が一定額(月額5,913カナダドル(約55.6万円))を超える場合は、所得額のうち当該一定額を超える部分の額の15%に相当する額を税として国に払い戻す(実際には、翌年7月から翌々年6月のOASの給付から控除する)制度があり、クロ-バックと呼ばれています。

Canadian clowback

 

 OASの払戻し(クローバック) ・・・カナダ老齢保障年金(OAS)の受給者であって、OAS以外の所得額が一定額(月額5,913カナダドル(約55.6万円))を超える場合は、当該所得額のうち一定額を超える部分の額の15%に相当する額を税として国に払い戻す仕組みになっています。

 

出典:日本年金機構 社会保障審議会資料

アメリカ年金のベンドポイントの仕組み

 アメリカ年金においては、日本の基礎年金(国民年金)に相当する定額給付が存在せず、厚生年金に相当する年金となっています。その再分配効果を高めるため、年金額の算定基礎となる平均賃金が高い場合に、給付率を減少させる仕組みが設けられており、この仕組みはベントポイントと呼ばれています。

US bent point

 図面の中に小さな注釈で書かれていますが、アメリカ年金の場合、給付算定式の屈折点(ベントポイント、816ドルおよび4917ドル)は、年金の所得代替率が平均賃金の者につき約41%、低賃金(平均所得の45%)の者につき約55%、社会保障税課税上限の高賃金の者につき約27%になる様に設定されています。

対象者 被用者および月所得400ドル以上の自営業者
保険料率

被用者:被用者本人6.2%、雇用者6.2% 合計12.4%

自営業者:12.4%
最低加入期間 40四半期(10年間に相当)
満額加入期間 35年間
支給開始年齢 66歳(2027年までに67歳に引き上げ)
国庫負担 通常国庫負担は行われない

 

年金額算定式は以下の通りとなります。

基本年金(月額)=0.9A +0.32B +0.15C

Aとはスライド済平均賃金月額である815ドルまでの分

Bとはスライド済平均賃金月額816ドルを超えて4917ドルまでの部分

Cとはスライド済平均賃金の4917ドルを超えた部分

 

出典:厚生労働省 社会保障審議会 年金部会

平成24年度 国民医療費の現状

 10月8日に平成24年度国民医療費の現状についての発表が有りました。

 平成24年度の国民医療費は39兆2,117億円、前年度の38兆5,850億円に比べ6,267億円、1.6%の増加。人口一人当たりの国民医療費は30万7,500円、前年度の30万1,900円に比べ1.9%、額にして一人当たり5600円増加しています。

国民医療費の国内総生産(GDP)に対する比率は8.30%(前年度8.15%)、国民所得(NI)に対する比率は11.17%(同11.05%)となっています。

 

国民医療費

 

 上の図を見てもお分かりの通り、非常な勢いで伸びています。その中でも、一番の注目点は年齢別の医療費だと思います。

 年齢階級別国民医療費を性別にみると、0~14歳の男は1兆3,657億円(構成割合7.2%)、女は1兆1,148億円(同5.5%)、15~44歳の男は2兆3,458億円(同12.4%)、女は2兆8,609億円(同14.0%)、45~64歳の男は5兆422億円(同26.8%)、女は4兆3,962億円(同21.6%)、65歳以上の男は10兆930億円(同53.6%)、女は11兆9,930億円(同58.9%)となっています。

 国民全員の医療費を合計しても金額が多すぎて感覚が掴みにくいと思いますが、人口一人当たり国民医療費をみると、65歳未満の男は17万9,200円、女は17万4,900円、65歳以上の男は76万6,000円、女は68万800円となっています。

  9月29日のブログにも書きましたが、「健康寿命」と「平均寿命」の差が大きな社会問題であり、如何に寿命をまっとうするまで健康でいることが重要かと言うことを改めて感じます。65歳未満の男性は年間平均18万円弱の医療費で済んでいるのに対して、65歳以上の男性は77万円近い費用を毎年平均してかけていると言う事で、これが個人の心配でもあり、国の社会保障財政としても大きな心配でもあります。

 私たち一人ひとりが自覚を持ち、生活習慣を見直し、健康で医者や薬のお世話にならないで済む楽しい元気な生活を送りたいものです。

 

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就業率の国際比較

お厚生労働省の社会保障審議会で高齢期の就労と年金受給の在り方についての審議が行われていますが、その中で興味深い表が有りましたので、ここに示したいと思います。この表は就業率の国際比較(2012年)となります。 就業率の国際比較

  表の中の数字の単位は%です。日本の列の一番上、75.4とは日本の男女合計で55歳~59歳の人は75.4%の人が就労していると言う意味になります。

 この表を見ると、日本は働き者の国と言う事が分かります。特に60歳~64歳の比較、さらに65歳から69歳の比較で欧米に比べて就労の比率が高くなっています。65歳から69歳の男性で日本は46.9%と半分弱の人が働き続けているのに対して、フランスでは7.1%の人しか働いていない事が分かります。

この事は、定年の年齢および年金受給開始年齢に関係してきます。日本は65歳までの雇用義務化が進んでおり就労率が上がってきています。一方で、フランスでは、仕事を早めに引退し定年後を楽しむ傾向が有るのだと思います。

また、就業規則に年齢の要素を入れてはいけない法律が有るアメリカでは、年齢と退職の関連性は直接的には関係してきません。意外なのはドイツです。フランス程では有りませんがフランス、イタリアに続いて就労年齢が低い傾向がみられます。

一方、韓国の場合は日本よりも就労年齢が高くなっています。特に65歳~69歳では日本より高くなっています。 各国での働くことに対する意識が表れている興味深い数字だと思います。

国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通しについて

 9月29日 厚生労働省の社会保障審議会年金数理部会において、平成26年財政検証結果についての報告が有りました。

 この報告は、国民年金法により政府は少なくとも5年ごとに、国民年金・厚生年金の財政に係る収支についてその現況及び財政均衡期間における見通し(「財政の現況及び見通し」)を作成しなければならないと定められており、その法律にしたがって公表されるものとなっています。

 給付のベースとなっているのは平成16年度に策定したフレームワークで、以下の4項目を実施した上での見通しです。

○ 上限を固定した上での保険料の引上げ(最終保険料(率)は国民年金16,900円(平成16年度価格)、厚生年金18.3%)

○ 負担の範囲内で給付水準を自動調整する仕組み(マクロ経済スライド)の導入

○ 積立金の活用(おおむね100年間で財政均衡を図る方式とし、財政均衡期間の終了時に給付費1年分程度の積立金を保有することとし、積立金を活用して後世代の給付に充てる)

○ 基礎年金国庫負担の2分の1への引上げ 財政検証は、今後も少なくとも5年ごとに、 ○ 財政見通しの作成 ○ マクロ経済スライドの開始・終了年度の見通しの作成 を行い、年金財政の健全性を検証するとしています。

また、見通しを検証する前提として以下の条件設定を行っています。

○ 社会保障と税の一体改革により成立した法律による公的年金制度の改正を反映。

・基礎年金国庫負担2分の1の恒久化

・年金額の特例水準の解消 ・被用者年金の一元化 (厚生年金には旧共済を含む。)

・短時間労働者への厚生年金適用拡大(25万人ベース)

○合計特殊出生率及び死亡率について中位、高位、低位の3通りをそれぞれ設定した将来推計人口(少子高齢化の状況)の前提

○労働力率の前提

○経済前提

○その他の制度の状況等に関する前提 (有遺族率、障害年金発生率、納付率 等)   この中で、まず条件設定の為の前提となるのが、経済前提です。

ケースA(経済成長率 1.4%、物価上昇率 2.0%、賃金上昇率 2.3%)

ケースB(経済成長率 1.1%、物価上昇率 1.8%、賃金上昇率 2.1%)

ケースC(経済成長率 0.9%、物価上昇率 1.6%、賃金上昇率 1.8%)

ケースD(経済成長率 0.6%、物価上昇率 1.4%、賃金上昇率 1.6%)

ケースE(経済成長率 0.4%、物価上昇率 1.2%、賃金上昇率 1.3%)

ケースF(経済成長率 0.1%、物価上昇率 1.2%、賃金上昇率 1.3%)

ケースG(経済成長率 ▲0.2%、物価上昇率 0.9%、賃金上昇率 1.0%)

ケースH(経済成長率 ▲0.4%、物価上昇率 0.6%、賃金上昇率 0.7%))

 以上の8つのケースを設定し、それに加えて出生率および平均寿命の変化となる死亡率でそれぞれ上位、中位、下位の場合があり得ますが、財政検証では出生率と死亡率両方が中位として以下の給付水準調整後の所得代替率として以下の率が検証結果として算出されています。

 参考までに出生率中位とは合計特殊出生率が2060年に1.35、死亡率の中位とは平均寿命が2060年に男性84.19歳、女性90.93歳として設定しています。

ケースA、中位

○ マクロ経済スライドによる調整は『基礎年金で平成56年度』、『厚生年金で平成29年度』で終了し、それ以後、『所得代替率50.9%』が維持されます。

ケースB, 中位

○ マクロ経済スライドによる調整は『基礎年金で平成55年度』、『厚生年金で平成29年度』で終了し、それ以後、『所得代替率50.9%』が維持されます。

ケースC, 中位

○ マクロ経済スライドによる調整は『基礎年金で平成55年度』、『厚生年金で平成30年度』で終了し、それ以後、『所得代替率51.0%』が維持されます。

ケースD, 中位

○ マクロ経済スライドによる調整は『基礎年金で平成55年度』、『厚生年金で平成31年度』で終了し、それ以後、『所得代替率50.8%』が維持されます。

ケースE, 中位

○ マクロ経済スライドによる調整は『基礎年金で平成55年度』、『厚生年金で平成32年度』で終了し、それ以後、『所得代替率50.6%』が維持されます。

ケースF、中位

○ マクロ経済スライドによる調整で平成52年度に所得代替率50%に到達。仮に、その後も機械的にマクロ経済スライドの適用を続けて財政を均衡させた場合、マクロ経済スライドによる調整は『基礎年金で平成62年度』、『厚生年金で平成39年度』で終了し、『所得代替率45.7%』になります。

ケースG, 中位

○ マクロ経済スライドによる調整で平成50年度に所得代替率50%に到達。仮に、その後も機械的にマクロ経済スライドの適用を続けて財政を均衡させた場合、マクロ経済スライドによる調整は『基礎年金で平成70年度』、『厚生年金で平成43年度』で終了し、『所得代替率42.0%』になります。

ケースH、 中位

○ マクロ経済スライドによる調整を機械的に続けたとしても、国民年金は2055年度に積立金がなくなり、完全な賦課方式に移行します。その後、保険料と国庫負担で賄うことのできる給付水準は、所得代替率35%~37%程度となります。

 以上が検証結果となりますが、ポイントは日本の成長率がどうなるか?と言うことで大きく所得代替率が変わってくると言う事、および今後ケースAで成長が出来たとしても50%程度の年金支給額となり、年金だけでは生活は難しく、それ以外に個人で不足分を補う工夫が求められることになります。

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国際シンポジウム「2020年へ、日本は世界に何を発信できるか」に参加して

 昨日、東芝国際交流財団、日経新聞社、日本経済センター主催の国際シンポジウムが有り参加しました。

 2019年にはラグビーのワールドカップ、2020年には東京オリンピック、パラリンピックが開催されますが、その時点までに日本力を世界にどのように発信、提案してゆくか?について考える催しで、600名の定員が一杯になるほどの盛況でした。

 バブルがはじけて二十数年経過しますが、閉塞感で抜け出せないと感じている日本はどうするべきかと言うテーマに対して、パネラーの討議が行われました。 何といっても大きなテーマは「少子高齢化をどのように克服するか?」です。

 第二次世界大戦の混乱期から奇跡の成長を遂げ、50年前の1964年東京オリンピックを契機に日本全体が成長していった時代はまさに人口ピラミッドが形成されて成長エンジンが出来ていました。しかし、それから50年が経過した2014年今年は65歳以上の人口が全人口の25.9%となっており、2020年には29.1%さらに2040年には40%になると予測されている世界のどの国も経験した事の無い超高齢化社会になってゆきます。その社会をどのように成立させるのか日本人の知恵が問われています。

 パネラーからは、日本はまだ製造業で世界No.1になった成功体験から抜け出せていないのが大きな課題であり、既に日本のGDPに占める製造業の割合は25%しか無く、サービス産業の割合が75%となっているにも関わらず、日本におけるサービス産業の生産性はアメリカの60%と大幅に劣っていることを十分認識できていないとの発言が有りました。 この認識を変え、かつ規制改革を大胆に実施する事によりサービス産業の生産性を上げる抜本改革が必要との発言でしたが、確かにその通りで日経ホールを埋めていた参加者を見渡しても主催者の東芝を含めたメーカー人間で今は定年を迎えたような60歳、70歳代の参加者の数が目立ち、我々自身の問題だと感じる場面でした。

 今の日本はこれまで企業が海外進出していた部分をインフラ関係の公共団体と企業(鉄道、水道、ごみ処理、環境保全)が日本の技術の海外進出に置き換えようとしている感覚が有りますが、それらだけでは無く不十分です。日本の製造技術の輸出では円安でもそのメリットが全く発揮されません。日本の高齢化社会克服のノウハウを、輸出し今後世界各国が迎える高齢化社会にそのまま活用できるようなサービス産業としてのビジネスにしてゆく、年金、介護、健康管理の取り扱うノウハウが他国で活用でき、付加価値の高いビジネスモデルとして構築できて行けば日本人のきめ細かく工夫してゆく日本人力が活用できるのではとの感想を持ったシンポジウムとなりました。

 

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2014年10月4日 | カテゴリー : 社会保障 | 投稿者 : naruse163

老後の生活資金

 老後の生活費はいくらかかるのでしょうか? 総務省「家計調査年報 平成24年家計の概況」では夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯の実収入は214,863円で。前年に比べ実質2.3%の減少、この結果、可処分所得は185,060円で、実質2.2%の減少となりました。一方、消費支出は242,585円で実質0.6%の増加となり、57,592円が不足分となります。 高齢夫婦無職世帯の家計収支2013

 年金相談センターに行くと、各ブースで年金相談をされている方がいらっしゃいますが、そのブースから「年金だけでは足りませんよ。」と言う声が漏れてくることが有ります。

 サラリーマンとして、毎月確実に給与が貰えているときにはさほど気にならない出費が大きく効いてくるのも定年後です。 じっくり計画しておきたいものです。

 

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「目標」と「目的」の違い

 皆様、日常的に「目標」と「目的」の違いを意識されていますか?

 辞書によると「目標」とは 1.そこに行きつくように、またそこから外れないように目印とするもの。射撃・攻撃などの対象。まと。 「目的」とは 1.実現しようと目指す事柄。行動のねらい。めあてと有りました。

 それぞれを説明されると何となく分かったような気持ちになりますが、その違いや差はよく分かるとは言えないような気がします。ただ、実はその違いが大事でその二つを意識して使い分けると日常の行動にメリハリが付けられるような気がします。

 例えば、オリンピックの短距離陸上競技選手であれば、「目標」は100メートルを10秒を切って走れるようになる事で、その「目的」はオリンピックでメダルを取る事となります。(現実にはボルト選手が居るので10秒を来るぐらいではメダルは取れませんが) あるいは、「目標」は体重を5キロ落とす事とし、その「目的」は血圧を含めて健康診断で引っかかっている項目を改善し健康な身体を取り戻し、快適な生活をする事となります。

 私どもが携わっている「年金」や「海外年金」についても、それを「目的」にしてはいけないような気がします。海外年金の正しい知識を把握し、受給資格に基づいた正しい受給申請を行い確実に受給する事を「目標」とし、その結果得られた生活資金により、老後の生活を豊かにする「目的」を達成すると言った様に認識する事が正しいのではないかと思います。

 この様に「目標」と「目的」を使い分けて意識する事により、何のために行動しているのかが明確に意識できると、その行動が楽しくなり飽きることが無くなるような気がします。

 

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健康寿命と平均寿命について

 日経新聞に「健康寿命、平均寿命に比較して延びず」と言うコラムが有りました。 私としては、非常に気になる話題です。

 最近の報道で男性の平均寿命が80歳(厳密には79.55歳)になったと報道され、男性もいよいよ80歳以上生きる人が半分以上いるのかと思われた方は多いと思いますが、実は重要なのはいくつまで生きているのでは無く、いくつまで元気でいるのかと言うことで健康寿命の方が重要でしょう。

 その健康寿命が男性の場合70.42歳の様で、平均しての話では有りますが(実は世の中に平均値の通りになる人は少ないのですが)男性の場合、70歳で残念ながら不健康になってしまい、80歳まで生きてしまうと言う事になります。 これは大問題です。不健康であれば、病院にかかったり、薬を飲んだりしなければならず、健康であれば必要の無い費用が掛かります。この事が益々国の社会保障財政を悪化させることにつながります。

 国民全員が規則正しい生活をし、ラジオ体操等の適度な運動をし、暴飲暴食を避け、楽しく元気な生活をしたいものです。そしてピンコロで人生を全うしたいものです。

 社会保険労務士事務所として、年金の事に携わっていますが、年金はあくまでも楽しく健康な老後を過ごすための資金の一つであり、安心して生きてゆくための手段です。私たちが最終的に目的とするのは、安心して老後を元気で楽しく過ごす事です。 これから冬に向かい、食べ物のおいしい季節になりついつい食べてしまい太りがちです。十分に注意して健康を維持したいものです。

 

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消費税10%の決断に向けて

 消費税10%の決断が年末までに行われる事になっており次の大きな政治課題になります。

 その判断材料となるのが、我が国の経済情勢についてどう見るかとなり、第15回経済諮問会議が9月16日開催され、有識者から経済情勢に関する報告が有りました。

 内閣府のホームページで資料を読むことが出来ますが、それを報告をまとめると、 経済の現状については、駆け込み需要の反動減は大きかったものの、均してみれば増加しているとの認識です。 今後の経済情勢を見る視点としては①消費の安定的増加、雇用者数、賃金の伸びと消費者マインド ②企業収益の動向、民間設備投資の強さ ③輸出入の動向、④物価動向 ⑤マーケット(株価、為替、金利等)の動向に注視すべきと報告しています。

 今後の成長については民需寄与の拡大が重要とし、「民需主導」を実現するために(1)利益増加と賃金上昇の好循環へ (2)稼ぐ力を強化すべき (3)3つの供給制約の克服を挙げ 具体的に3つの供給制約は ①労働力 ②投資資金 ③エネルギー価格を挙げています。

 労働力については、今安倍首相がニューヨークの国連で演説した女性の労働力率(15歳から64歳人口)の増加を挙げ、さらに働きたい高齢者層についても触れています。まさに我々に直結した課題です。

 平成25年にすでに消費税値上げは消費税法として成立しており、その収入の使途は以下のような文章で明確化されております。         「国分の消費税収入については、毎年度、制度として確立された年金、医療および介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する経費(社会保障4経費)に充てるものとされました。」(注)地方消費税収入(引上げ分)および消費税収入に係わる地方交付税分については、社会保障4経費を含む社会保障施策に要する経費に充てるものとされています。

 つまり既に使い道が決まっており、消費税を上げることが出来ないと予定している社会保障政策に不都合が出てくることになります。一方では消費者感覚として野菜や電力・ガソリンの高騰で家計的には厳しくなっており、これ以上消費税が上がるのは厳しい所です。 非常に難しい判断であり注目したいと思います。

 

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