世界の年金制度に関する情報提供を行ってまいります。

 私共、2014年8月に社会保険労務士事務所プラムアンドアップルをスタートさせ、3年目に入っております。今年も多くのお客様から海外年金に関するご質問、ご依頼をいただきました。2016年の年末にあたりまして、ご挨拶と御礼を申し上げます。

 今年11月、世代間格差の是正の為、年金改革法案が国会で承認されました。次の世代が日本の年金制度に信頼感を持つためには、年金受給者としてある意味での我慢が必要となります。その意味から今回の年金改革法案成立は必要であると認識しています。一方で、公的年金を受給している高齢者世帯のうち、56.7%が所得を100%公的年金に頼っており、その意味から日本の公的年金以外からの収入があることが望ましいとされています。 %e5%85%ac%e7%9a%84%e5%b9%b4%e9%87%91%e3%81%ae%e7%b7%8f%e6%89%80%e5%be%97%e3%81%ab%e5%8d%a0%e3%82%81%e3%82%8b%e5%89%b2%e5%90%88%e3%80%80%e5%b9%b3%e6%88%9026%e5%b9%b4%e5%ba%a6

私共、海外年金を国民基礎年金、厚生基礎年金に次ぐ第三の公的年金と考えておりますが、その事がマスコミ等で取り上げることはまず無く、多くの方がご存じないまま貰い損ねの状態となっているのが現状です。 海外年金には、赴任国、赴任時期により受給できる場合とそうでない場合があり、不公平感が出てしまう要素があるためにデリケートな内容となるため、広く報道される事がないのではと推測いたしますが、あくまでも年金受給は個人の権利です。個人の権利として受給資格がある場合はその権利を行使され受給されることが宜しいと考えております。

 今年4月には英国年金の新制度 New State Pensionが開始され、10月には日本とインドの間で社会保障協定が発効しており、社会保障に関する制度は日々新たとなっております。私共、2017年につきましても引き続き、海外年金情報の収集を行い、海外年金に関する情報提供と申請代行サービスの提供を行ってまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

マクロ経済スライドとは?

 先日のブログに記載しましたように平成16年(2004年)の年金改革で平成29年(2017年)まで保険料率が引き上げられます。

 一方で今後受け取る年金は「少子高齢化」「平均余命の伸び」を反映して、たとえ物価が1%上がったとしても、同率で上げないようにして結果的に年金の実質価値を引き下げることになりました。(「少子高齢化」見合い0.6%、「平均余命の伸び」見合い0.3% 合計0.9%の引き下げ)これをマクロ経済スライドと言います。

 この制度を採用する事により、国としての年金制度が維持できる事となる訳で意味のある制度では有ります。一方で、個々の問題としてみると、現在の年金受給者は年金金額が上がることは無いわけで、実質の年金金額は下がることになります。

ベルギー年金受給者への生存証明書に関する重要なお知らせ

この時期になりますと、海外年金受給者に生存証明書の提出指示が届きます。ベルギー年金受給者に対して、ベルギー大使館領事部より以下のご案内が出ておりますので、対象者の方は参考にしていただければと存じます。

なお、英国年金に関する生存証明につきましては、私共の方で対応が可能です。これ以外の国での生存証明に関してご不明な事が有りましたらいつでもお問い合わせください。

ベルギー年金 生存証明書に関する重要なお知らせ

ベルギー年金受給資格を有し、ベルギー国年金事務所またはその他のベルギー年金事務所から「Certificat de vie」という書式を受け取った日本国籍の方は、以下の手順に従うことが求められます。
! 生存証明の書類は、公証役場の公証人の面前で署名と日付けを記入してください。事前に署名と日付けは記入しないでください。

1. 生存証明書はお住まいの市町村区役所に提出し、署名と印鑑を受ける。
2. 市町村区役所で署名と印鑑を受けることができない場合は、地元の公証役場に出向く。(スムーズな手続きのために公証役場へは前もって持参書類の確認と予約をすること)
3. 身分証明書を持って、公証役場へ出向き、「公証人認証書」を受ける。
4. 公証人が、身元を確認し、英文の公証人の署名と印鑑のある「公証人認証書」が添付される。
5. アポスティーユ証明を取得する。公証役場によっては、公証人認証書作成からアポスティーユまでの手続きを公証役場のみで行うことができるワンストップサービスが 可能。それぞれ近くの公証役場へ問い合わせる事。 http://www.koshonin.gr.jp/sho.html
6. 公証役場でアポスティーユ証明取得までのワンストップサービスができない場合、以下の手順で進めて下さい。
   (1)その公証人の所属する(地方)法務局にて公証人押印証明を取得。
   (2) 日本国外務省にてアポスティーユ証明を取得。
     御問い合わせ先
     外務省
    領事移住政策課 証明班
    〒100-0013東京都千代田区霞が関1丁目2番1号
    電話:(03)3580-3311内線2308。
    http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/todoke/shomei/index.html
   又は
   外務省 大阪分室
   〒540-0008 大阪府大阪市中央区大手前4-1-76
   大阪合同庁舎第4号館4階
   電話:(06)6941-4700
7. 健康上の理由で公証役場に出向くことが不可能な場合は、公証人に連絡し、解決策を相談する事。
8. 以上の手順で用意した書類をベルギーの年金事務所へ郵送して下さい。

【情報元:在日ベルギー大使館 領事部】

スコットランドの独立が実現するかどうか?

 スコットランドが独立するかどうかを決める住民投票が現在進行形で行われています。

 私たちがイギリス赴任にしていたのは1987年から1991年ですが、1990年の夏休みのタイミングに家族が用事が有って日本に一時帰国をした際に友人のHOさんと二人で車にゴルフバッグを積んで出かけた事を思い出します。エジンバラで「ミリタリー・タトゥー」を見て、セントアンドリュースでゴルフをし(残念ながらオールドコースではできませんでしたが)、アバディーンでウイスキーの蒸留所へ行き、スカイ島の島々をフェリーで渡りそれはそれは楽しい夏休みでした。

 イギリスでは一般的に北の人は優しく、南の人は冷たいと言う話が有ると聞きました。(これはあくまでも一般的な話です。)ここでの北は、イングランドでの北の方であり、またスコットランドもその北に含まれます。南と言うのはロンドン地区の事です。

 北海油田はスコットランドの東側にあります。(北海油田のリブで働く人たちは多くの人がアバディーンからヘリコプターで北海油田のリブまで飛んでゆくのですが、その際に緊急脱出設備の説明を毎回行う必要がありその作業改善をするためにビデオ機器を使う仕事に関係したことが有ります。)そこから得られる利益がほとんどすべてイングランドに抑えられているのは感情的に感じてしまうものが有るのは判るような気がします。 石油に次ぐ第二の産業のウイスキー産業にも大きな影響が出るかもしれません。アバディーンの近くでゴルフをしたときに、コースの横に清水が湧き出ており、それをそのまま飲めるのですが、その水が甘かったことは忘れられません。

 United Kingdomの一部のスコットランドが1回の住民投票で独立するかどうか決めることが出来ると言うのは、なんと民主的な国かと驚きますが、もしスコットランドが独立するとなると、ベルギーの一部やスペインのカタルーニャ地方やらあちこちで独立国が出てきそうで、まさに歴史が変わってしまうことになります。 独立の住民投票について高年齢層では年金の事が心配で反対している人が多いとニュースが報じていましたが、日本人が受けるイギリス年金にも影響が及ぶかもしれず、イギリスの社会制度が根本からひっくり返る大きな影響が出てきます。明日の朝の結果に注目したいと思います。

 

 社会保険労務士事務所 プラムアンドアップルでは、海外赴任経験者に対して海外年金に関する情報提供と申請代行サービスを行っております。これまでに海外赴任された方には海外年金受給資格の可能性があります。是非、赴任国、赴任時期によりご自身の受給資格についてご確認されますことをお勧めします。受給資格がありそう、ただ手続きが難しそうと思われる方には私共がお手伝いいたします。

シンガポールの社会保障制度は積立制度

 アジア地域への企業進出が盛んですが、その中心はシンガポールです。

 アジア諸国のハブとしての役割を果たしており、各国へのアクセスに関して地理的に中心であり、かつ各国への投資の拠点にもなっています。法人税が世界の主要国の中でも非常に低く(最高でも18%、ただし実際には10%程度が多い)日本の40%とは比較になりません。物価はかなり高く、住宅価格、自動車価格については企業にとって負担ではありますが、安全で教育レベルも高く、企業が赴任者を出す点では全く問題なく、アセアン諸国に製造拠点や販売拠点を置きながら、シンガポールは地域のヘッドクオーターとして統括会社を配置する企業が多くなっています。日本人赴任者からの希望も高く、チャンギ―空港の近くにある日本人学校も西地区にある日本人学校も生徒数が増えています。この事は日本にとってだけでは無く、欧米の企業にとっても同じ条件の為、欧米人もかなり多く見かけます。樹木の多い丘陵地区に高層マンションがにょきにょき立ち並び、プールやジャグジー、BBQやフィットネスの設備までそろった高級住宅が目につきます。 シンガポールの全人口500万人の3分の1が外国人だと言うこともうなづけます。(ただし、国籍的には外国人でも中国人が多数です。)

 そのシンガポールは、現首相のリーシェンロン首相のお父さんのリークアンユー氏が1945年の建国から発展までの立役者で有ることは有名です。まだまだ建国から49年の若いシンガポールですが、社会保障制度では日本や欧米諸国の取っている賦課方式ではなく、積み立て方式を取っています。このため、日本からの赴任者は社会保険料を支払う義務は有りません。昨年、一昨年とシンガポールに出張した際に、タクシーの運転手さんにシンガポールの景気はどうですか?と聞くと、「儲かっているよ。今まで持っていたアパート(日本ではマンションと呼びますが)が非常に高くなりうれしいよ。」とポジティブな話を聞きました。地下鉄に乗ると若い人で満ち溢れており、オーチャード通りには買い物客が多く活況を呈しています。

 しかしながら、国としての課題も有ります。出生率が1.19と日本よりもさらに低く、すでに人口の10。5%が65歳以上になっており、高齢化が急速に進む事が予測されています。 社会保険制度積立方式で、社会保険料としては、被用者の支払い分は月収がS$500からS$1499までの人は年齢、収入により一定額。月収がS$1500以上の人は50歳以下で20%、50歳以上で5%から18。5%となっています。これに対して、雇用者側は月収がS$500からS$1499で35歳以下の場合は16%、月収がS$1500以上の場合は50歳まで16%の支払いとなります。 これらの掛け金を年金基金が運用し、55歳の時に引き出すことが出来、家を買ったりする場合は55歳前でも引き出すことが出来るようです。また、シンガポールを離れる場合あるいは65歳になった場合は残額を引き出すことも可能な様です。 少子高齢化に影響されない積み立て方式ではありますが、物価や給与は年々上がってきており、昔の掛け金が後の生活費必要資金としてどこまで充足できるのかが課題で、政府として特に高齢者介護施設の充実が課題となります。

 シンガポール以外のほどんどの国で採用されている賦課方式では次の世代が高齢者を支える形ですので、インフレについては大きな問題は有りませんが、少子高齢化は大きく影響してくると言う課題があり、積み立て方式も賦課方式も双方に一長一短があります。 日本からの赴任者の場合は、この社会保障制度に加入の義務は無く、社会保険料は支払っていないと聞いております。その点で赴任元企業としての負担は軽減されていることになります。

 

 社会保険労務士事務所 プラムアンドアップルでは、海外赴任経験者に対して海外年金に関する情報提供と申請代行サービスを行っております。これまでに海外赴任された方には海外年金受給資格の可能性があります。是非、赴任国、赴任時期によりご自身の受給資格についてご確認されますことをお勧めします。受給資格がありそう、ただ手続きが難しそうと思われる方には私共がお手伝いいたします。

グローバルな社会保障について

 海外で働く海外赴任者にも税金については、各国間での長い間の協議の結果各国単位の課税から全世界課税となっておます。海外のどこかで得た所得についても各国税務機関の相互連携により所得の捕捉が出来るようになり全世界所得が居住国で課税されます。

 この様に国は自国の財政を守るためにいろいろな努力と取組をしてきています。社会保障制度についても、同様に各国間での協議が進み、社会保障協定締結国が拡大しています。 海外勤務した際に、税金の事には強い関心があり、全世界所得について課税されることを多くの人が知るようになってきていますが、社会保障についてはどうでしょうか?自分が定年になるのはまだまだ先の事と考え、関心が非常に低いのが現実だと思います。

 我々の家族は13年間海外生活をしましたが、所得や税金には強い関心が有ったものの、社会保障制度については関心が薄かったのが現実です。しかし、当時は定年までは同じ会社で勤めあげる事を疑うことが無い時代でした。これからの時代はそうではありません。むしろ定年まで同じ会社で終わる人が例外で気になってくる世の中です。定年までのサラリーマン設計と同様に定年後をそのように生きてゆくか、その時の社会保障はどうなるのかをグローバルな観点を持って考えてほしいと思っています。

カナダ年金受給者に「カナダポスト」のストによる小切手送付遅延の可能性の連絡

今月(2018年9月)に入り、カナダ年金受給者にBank of Americaからレターが届いております。
これは、2018年9月25日に予定されております「カナダポスト」のストの影響で小切手の送付業務に滞ろが出る可能性が有るとの連絡となっております。 このレターは、全世界のカナダ年金受給者(小切手での)に送付されているもので、小切手での受給からダイレクトデポジット(銀行振り込み)に変更することにより、小切手よりも速く届くとの案内となっておりますが、残念ながら日本への銀行振り込みは開始されておらず、その選択肢は有りません。
このブログを書いている10月10日時点で、カナダポストのストライキが行われており、当面は、様子を見ていただく事となります。

カナダ年金のクロールバック(払戻し)制度の仕組み

 カナダの年金は、税方式の老齢保障年金(OAS)と社会保険方式のカナダ年金制度(CPP)がありその上にそれ以外の私的所得の有る構造になっています。

 そのうちの、カナダの老齢保障年金(OAS)は、全額税財源により支給される年金制度ですが、受給者のうち、OAS以外の所得額が一定額(月額5,913カナダドル(約55.6万円))を超える場合は、所得額のうち当該一定額を超える部分の額の15%に相当する額を税として国に払い戻す(実際には、翌年7月から翌々年6月のOASの給付から控除する)制度があり、クロ-バックと呼ばれています。

Canadian clowback

 

 OASの払戻し(クローバック) ・・・カナダ老齢保障年金(OAS)の受給者であって、OAS以外の所得額が一定額(月額5,913カナダドル(約55.6万円))を超える場合は、当該所得額のうち一定額を超える部分の額の15%に相当する額を税として国に払い戻す仕組みになっています。

 

出典:日本年金機構 社会保障審議会資料

カナダ年金 小切手の交換について

カナダ年金(CPPとOAS)については、現在でも小切手での支給となっておりますが、一部の都市銀行で、小切手の交換を中止する案内が出ているようです。
SMBC信託銀行では、小切手の交換は継続して行っており、私共のお客様については私共との業務提携により小切手の交換手数料の日本側発生分が無料となるサービスを提供しております。是非、ご利用されます事をお勧めします。(念のため、小切手発行元のBank of America側の手数料は発生しますので、交換手数料が全額無料になる訳では有りません。)

カナダ年金については、支給頻度を毎月支給から、年2回あるいは年1回支給に変更することも可能です。これらの合わせ技により、出来るだけ効率よく受給されることをお勧めします。
私共、カナダ年金の支給頻度を変更するお手続きも代行手配しております。ご希望の場合には、お問い合わせのページからご連絡ください。また、SMBC信託銀行の優待プログラムのパンフレットをご希望の場合にも、お問い合わせください。

カナダ ケベック州の年金(QPP)については銀行振り込みが可能となっております。

カナダ年金の支給につきましては、小切手での支給となっております。 昨年末から今年にかけて、受給者の方にBank of Americaからのレターが届き、銀行振り込みが可能になったので銀行口座を連絡するようにとのレターが届きましたが、誤りでした。その後、再度Bank of Americaからのレターにより、訂正されております。 一方でケベック州に勤務されておられた方に受給権利が発生しておりますQPPにつきましては、銀行振り込みが可能となっております。小切手に比較して大幅に換金手数料が削減できます。該当されます方は、銀行振り込みの手続きをされますことをお勧めいたします。